栃木SCのことをより考えるブログ

主に栃木SCの試合分析(レビュー)をします。

【新生栃木のこれまでとの違い】栃木SCの2月

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主な活動内容

2/4 トレーニング再開
2/13 キャプテン決定(西谷)・副キャプテン決定(川田、黒崎、福森)
2/19 第1節 秋田戦 〇1-0
2/20 TM 福島戦 ●1-5
2/27 第2節 東京V戦 ●0-3

【Topics①】ビルドアップへの着手

 昨季までとの違いはなんと言ってもこれでしょう。開幕節でGKとCB間でパス交換しているのを見たときはたった数本なのに「つないでる!!!!」と思いました。これまでの栃木ではありえないことでしたからね。ストーミングを掲げた前体制下ではボールの保持を問わず相手に圧力をかけるという方針でしたが、実際のところビルドアップが未整備のため保持に存在感がありませんでした。「栃木はボールを持てないチーム」という認識が定着していたなかで、今季の変貌に対する驚きは大きかったと思います。なんなら栃木サポーターが一番驚いています。

 栃木のビルドアップは中央にひとつ起点を作って相手の注意を引くことでサイドに時間を与える設計となっています。サイドの選手が相手の圧力が少ない時間を有効活用することでサイド攻撃に厚みをもたらせるようにとの狙いでしょう。

 具体的には、ビルドアップでは後ろで[3-1]を作ります。最終ラインの3人はいずれもボール扱いに長ける新加入のCBであり、[1]にはボランチのどちらかが相手FWの間に立つ。最終ラインからボランチに斜めにパスが入ると相手は意識が中央に向くこととなり、もう一方のボランチと協力して空いたサイドの選手にボールを送り届けるのがビルドアップの狙いとなります。ビルドアップが上手くいってるかどうかは[1]の選手にボールがよく入っているかに注目するとよいと思います。

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 [3-1]を作るなかで面白いのが左サイド。3CBのうち攻撃センスに優れる大森が前線へ絡めるよう、ボランチの一方が左CBの位置まで下りて大森を前線へ送り出すという動きがありました。形を変えずに人を動かすことは相手守備者からすればマークに付きにくくなります。秋田戦ではこのローテーションが上手くいき、ゴール前まで大森が顔を出すことができました。

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 サイドに送ってからの前進などまだまだ改善の余地は多いと思いますが、プレシーズンのアクシデントに巻き込まれながらも短期間で形が仕込まれているところには「オオォォォォ…!!」と思いましたね。さらなるレベルアップに期待です。

 

 

【Topics②】ハイプレスのかけ方

 もう1つ大きく変わったのがハイプレスをかけるときの連動の仕方。スイッチが入ったときに相手に襲いかかる迫力は昨季までをベースにしながらも、連動したときの選手、特にボランチはSB裏をカバーする役割を解除されたことで、より前向きに圧力をかけやすい仕組みになりました。

 よって、サイドのカバーリングはCBが横スライドして埋める形になりますが、ここも3CBシステムを採用しているため1人出ていっても中央がガラ空きになる心配はありません。

 [3-4-2-1]を基本システムにしたことで懸念となるのが、プレス時にWBが前に出て来られないとボランチの横がガラ空きになること。3月の試合ですが、岡山戦では右WBの大島がチアゴアウベスにピン留めされたことでプレスが機能せず、ボランチの横からパスを差し込まれてピッチを横断されました。

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 WGが幅を取る[4-3-3]や攻撃時にWBを最前線に配置する[3-4-2-1]を相手にした場合は同じ現象が起こりやすくなると思います。相手もそこを栃木の弱点として突いてくるはずです。WBが前に出て行っても隣のCBに守備を任せられるような信頼関係を深めていくことがハイプレスを成功させるためのポイントと言えるでしょう。

 

 

【Topics③】若手の台頭

 今年もまた楽しみな若手が台頭してきました。

 その筆頭格と言えるのが開幕期のレギュラーを勝ち取った小堀と鈴木。ともに19歳の2人はここまで先発出場を続け、早くも昨季よりも長い時間をピッチの上で過ごしています。若手の起用に積極的な時崎監督のもと継続して出場機会を掴んだことで3月には世代別代表のトレーニングに追加招集。とりわけ小堀にとってはこれまで縁のなかった代表招集であり、彼の選出は栃木のアカデミーの価値をグッと引き上げたという意味でクラブにとっても嬉しいニュースになりました。

 

 その他にも、開幕から左CBとして存在感を見せている大森は22歳の大卒ルーキーだし、もはや貫禄さえ見えるトカチも若干21歳。駒澤大から加入の宮崎鴻もヴェルディ戦ですでにデビューを飾り、昨季7試合の出場に留まった植田も少しずつ出場機会を得ています。攻撃に彩りを加える谷内田もまだ20歳の選手です。

 今年はチームの半数以上である16名がU-23の選手で構成されておりチームの平均年齢は一気に若くなりました。今季はエリートリーグの参戦も決まっているので多くの若手が飛躍のきっかけにしてくれればと思います。

 

 

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