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【選手別レビュー vol.4】栃木SCの2025シーズンを振り返る

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試合ごとの選手寸評(背番号39~88)はこちら

 

39 MF 屋宜 和真

リーグ戦 8試合/235分/0得点/0アシスト
ルヴァン杯 2試合/208分/1得点/0アシスト
天皇杯 4試合/57分/0得点/0アシスト

才能の片鱗を見せる

 平成国際大学から加入した大卒ルーキー。ルヴァン杯仙台戦(〇0-0 PK4-3)でプロデビューを飾ると、不慣れなボランチで120分プレー。持ち前の技術の高さと球際に身体を投げ出す泥臭さを見せ、その後は右シャドーでコンスタントに出場を重ねた。

 左利きのテクニカルなアタッカーとして出場した試合では才能の片鱗を見せていた。相手を見ながら浮いたポジションでボールを引き出し、足元でボールを細かく触りながらドリブル突破やラストパスを試みる。ルヴァン杯福岡戦(●1-2)では左サイドからの低いクロスに合わせてプロ初ゴールを記録。まずまずのプロ1年目を過ごしていたが、6月に同じ左利きの中野克哉が加入すると、その後はめっきり出場機会を減らすこととなった。

 9月には3試合連続でベンチ入りするも出番なし。結果的に後半戦は一度も試合に出場できず、当初思い描いていたルーキーイヤーとはならなかったが、出場した試合での手応えは決して少なくなかったように思う。プロ2年目が大いに楽しみなプレーヤーの一人である。

 

 

40 DF 高嶋 修也

リーグ戦 9試合/406分/0得点/0アシスト
ルヴァン杯 2試合/210分/0得点/0アシスト
天皇杯 2試合/34分/0得点/0アシスト

巡ってきたチャンスを掴めず

 定期的に巡ってきた出場チャンスをなかなか掴むことができないシーズンだった。

 今季のリーグ戦初出場は第8節八戸戦(●0-1)。大森の欠場に伴い出場機会が回ってきたが、相手の強烈なプレスを受けて攻撃の起点になれず敗戦を喫した。続くルヴァン杯福岡戦(●1-2)では味方と息が合わずミスから決勝点を献上。平松に代わって先発した第20節讃岐戦(●1-4)では今季最多の4失点を喫した。

 大森の負傷により前半のうちに出番が回ってきた第34節岐阜戦(●1-2)では逆転負け。プレーオフに進出できるかどうかの瀬戸際を戦うチームにとって痛恨の敗戦だった。もちろん高嶋だけの責任ではないとはいえ、非常に悔しい思いをした機会の多いシーズンだったといえるだろう。

 今季限りでの契約満了が発表され、来季は同じJ3の讃岐への移籍が決定。対戦相手としてあのロングスローを受ける怖さはあるものの、遠い讃岐の地から活躍の報を届けてくれることに期待したい。

 

 

44 MF 揚石 琉生

リーグ戦 5試合/201分/0得点/0アシスト
ルヴァン杯 0試合/0分/0得点/0アシスト
天皇杯 2試合/107分/0得点/1アシスト

着実に歩みを進めたプロ2年目

 今季は開幕スタメンに抜擢。ボランチに怪我人が相次いでいたという事情はあるにせよ、開幕から5試合連続で出場を果たし、早々に昨季のプレータイムを超えることに成功した。

 揚石の今季のプレーで強く印象に残っているのは第4節沼津戦(△0-0)のゴール前でのFKのシーン。ベンチから途中投入されると、すぐさまFKのキッカーを任せられ、左足から放ったコントロールショットは惜しくもバーを直撃した。その後は青島の復帰や藤原の加入により出番を失ったものの、今季は何度か世代別のJリーグ選抜に選出されるなど、プロとして着実に歩みを進めた1年となった。

 8月に出場機会を求めてJFLFCマルヤス岡崎へ育成型期限付き移籍すると、8試合に出場し、1ゴールを記録。環境を変えて出場機会を確保したこともまた貴重な経験となっただろう。来季の去就は未定だが、いずれまた黄色のユニフォームで活躍する姿を見せてほしい。

 

 

47 MF 吉野 陽翔

リーグ戦 29試合/1658分/0得点/0アシスト
ルヴァン杯 0試合/0分/0得点/0アシスト
天皇杯 3試合/137分/0得点/1アシスト

年間を通して試合に絡む

 昨季は特別指定選手として登録され、立正大学を卒業した今季は正式加入。藤原、青島に次ぐボランチの主力としてシーズンを通してコンスタントに試合に絡んだ。

 最終ライン手前のフィルター役として強度の高い守備と出足の良いルーズボール対応、シンプルにボールを捌くプレーで確実に計算できる選手だった。ハードな守備で相手からボールを狩り取っていくプレーに佐藤祥を思い浮かべた人も多かっただろう。試合をこなしていくなかで徐々に顔付きも精悍に逞しくなっていった印象だった。

 最終節長野戦(〇4-0)では藤原の欠場に伴い6試合ぶりに先発し、90分を通して球際の強さとパスの出し手として存在感を示した。前回先発した第32節八戸戦(●0-2)では不運なPK献上で悔しい想いをしていただけに、プレーオフ進出こそ叶わなかったが、最後に良い終わり方ができたといえるだろう。

 下部組織出身選手として周りからの期待値は高い。来季はボランチとして長年プレーしてきた米山監督のもと、さらなる成長に期待したい。

 

 

77 MF 藤原 健介

リーグ戦 26試合/2292分/1得点/2アシスト
天皇杯 4試合/269分/0得点/1アシスト

チームに彩りをもたらしたプリンス

 4月18日に磐田から育成型期限付き移籍で加入。古巣の第11節北九州戦(△0-0)でリーグ戦デビューを飾ると、その後は出場停止とコンディション不良を除く全試合に出場し、中盤の司令塔としてチームに欠かせない存在となった。

 約半年間の在籍でこれだけサポーターを虜にした選手は他にいただろうか。正確なキックと広い視野を生かした展開力で試合をコントロールし、チャンスクリエイト数と敵陣パス数でリーグ上位のスタッツを記録。時には味方も意表を突かれるようなプレーを見せるなど、常にチームの中心でタクトを振るい、栃木の攻撃にもう一段階上のクオリティをもたらしていた。見る者全てをワクワクさせてくれるような選手だった。

 華のあるプレースタイルに隠れがちだが、泥臭い守備もしっかり表現してくれた。守備に切り替わった局面でのカウンタープレス、相手のシュートに身体を投げ出していくブロック。ほとんどの試合で90分フルタイムを走り切り、キックのフィーリングが合わない時期も守備の献身性は落ちなかった。

 来季はレンタル元である磐田への復帰が決定。「栃木はSCでしょ」の名言を置き土産に、次は慣れ親しんだ地でサックスブルーの花を咲かせてほしい。

 

 

78 MF 堀内 陽太

リーグ戦 4試合/180分/0得点/0アシスト
ルヴァン杯 1試合/61分/0得点/0アシスト
天皇杯 0試合/0分/0得点/0アシスト

怪我でプレータイムが限られた1年

 浦和から育成型期限付き移籍で加入。今季の補強の目玉として多くの期待を集めたが、怪我の影響でなかなかプレータイムを確保することができなかった。

 出場した4試合はいずれも開幕期。ボランチに怪我人が相次いでいた第3節宮崎戦(●1-2)で初出場を果たすと、第4節沼津戦(△0-0)も続けてスタメン出場。ただ、この沼津戦で相手との接触により負傷してピッチを退くと、その後はトレーニング中の脳震盪や膝の怪我の影響で長期間別メニューでの調整を余儀なくされた。ちょうど時期を同じくして藤原健介が加入すると、その後は一切メンバー入りすることができなかった。

 来季は期限付き移籍先を琉球に変更。ユース時代の恩師である平川監督のもと、復活を目指すシーズンとなる。

 

 

80 FW オタボー ケネス

リーグ戦 18試合/392分/1得点/1アシスト
ルヴァン杯 1試合/55分/0得点/0アシスト
天皇杯 0試合/0分/0得点/0アシスト

本領発揮とはならず

 開幕直前の2月14日にJFL岩手から加入すると、主に右シャドーでプレー。途中出場から徐々にプレータイムを伸ばしていたが、初スタメンを飾ったルヴァン杯仙台戦(〇0-0 PK4-3)でハムストリングを負傷すると、約3ヶ月の離脱を余儀なくされた。

 負傷からの復帰後は身体能力の高さを随所に見せていた。第18節松本戦(〇3-1)では深い切り返しから利き足ではない左足から上げたクロスで太田の得点をアシスト。第23節沼津戦(〇3-2)では右からのクロスに対して身体を大きく捻りながらボレーで合わせてみせた。これ以外にも長い脚を生かしたドリブル突破や推進力で確実に相手に脅威を与えていた。

 惜しむらくはプレータイムをなかなか確保できなかったこと。リーグ戦で先発機会は訪れず、難しい状況でピッチに入ることが多かった。米山監督のもとではどのような起用法になるか分からないが、長い時間プレーを見たい選手の一人である。

 

 

81 MF 中野 克哉

リーグ戦 23試合/1779分/7得点/6アシスト

後半戦の快進撃の象徴

 6月12日に大宮から完全移籍で加入。加入直後の第16節福島戦(△2-2)で先発を飾ると、最終節まで全23試合に先発出場し、7ゴール6アシストを記録。9月にはJ3の月間MVPにも選ばれるなど圧倒的なパフォーマンスで攻撃を牽引した。

 中野が加入してからチームは見違えるように得点数が増加した。プレーが正確で、シュート技術が高く、決定力も高い。チームの強みは五十嵐・川名の左サイドだったが、これを武器にできたのも逆サイドから入ってくる中野が確実にゴールに沈めていたからである。試合を重ねていくに連れてポジションに流動性が増すと、五十嵐と立ち位置を入れ替えながら互いのゴールをアシストし合うなど阿吽の呼吸を見せていた。

 守備面での貢献も大きかった。前からのプレス、プレスバックの運動量は凄まじく、これを90分間フルタイムでやり続けられるスタミナがあった。リード時の終盤、チームがゴール前を堅める苦しい時間帯であっても猛烈なスプリントで二度追い、三度追いをする姿に心打たれたサポーターも多かっただろう。

 早々に来季の契約を更新。来季も五十嵐、川名らとともに破壊力ある攻撃を繰り広げてくれることに期待したい。

 

 

88 DF 内田 航平

リーグ戦 9試合/776分/0得点/1アシスト

快進撃のきっかけを作る

 7月15日に徳島から完全移籍で加入。3バックの中央で強烈なリーダーシップを発揮すると、出場した9試合で2度の3連勝を記録。夏場の快進撃を生み出すうえで内田の存在は間違いなく大きかった。

 今シーズンのハイライトは第22節栃木C戦(〇1-0)。記録上はオウンゴールとなったものの、右からのCKに強烈なヘディングで合わせると、これが決勝点となった。その後は強力な相手攻撃陣に対して身体を張った守備でクリーンシートを達成。結果だけが求められるダービーマッチで見事期待に応えてみせ、チームに会心の勝利をもたらした。試合後に送られた「燃えろ内田」のコールはもう個人チャントにしても良いのでは?とすら思った。

 佳境を迎えた終盤戦はコンディション不良もあり、メンバー入りできない試合が続いた。勝ち負けを交互に繰り返していた時期に内田がいればどうなっていただろうか…と思わざるを得ないのが正直なところである。

 今オフは早々に契約更新を発表。柳育崇とともに最終ラインを束ねるベテランとして、今季味わった悔しい思いを晴らしたい。