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【会心のリターンマッチ】J2 第22節 栃木SC vs FC町田ゼルビア(〇2-0)

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はじめに

 前節京都戦は3失点で今季初の逆転負けとなった栃木。二週間ぶりのホームゲームは仕切り直しを図る試合となる。今節の対戦相手は町田。前半戦で黒星を喫した相手にリベンジを果たし、良い形で後半戦のスタートを飾りたいところだ。

 

スターティングメンバー

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栃木SC [4-4-2] 9位

 ホームの栃木は前節から6人変更。GKオビは5試合ぶりに先発。前節を完全休養にあてたMF森は先発復帰し、変わって大島と前節負傷交代の高杉がメンバーを外れた。チームトップの4得点をあげているFW明本とDF柳には3試合連続ゴールの期待がかかる。

 

FC町田ゼルビア [4-4-2] 10位

 アウェイの町田は前節から1人変更。岡田が8試合ぶりにベンチスタート。FWバブンスキーは今季初先発となった。MF吉尾は栃木との前回対戦で2アシストを記録している。

 

 

CKからの初得点

 この試合一本目となった前半5分のCKから柳が合わせたヘディングシュートは、結果論かもしれないが、先制点の布石になったような気がする。

 町田のCKの守備はゾーンとマンツーマンの併用。自陣ペナルティボックス内に全選手が入り、エリア内の栃木の選手全員に対してマンマーク。残った選手はゴール前をゾーンで守る形だった。

 柳にマンツーマンで対応していたのは小田だったが、前半5分と先制点のシーンでは、ともに柳の動き出しと周りの選手によって動きを制限されてしまい、肝心の競り合うポイントに入れていなかった。試合後の監督、選手のコメントによると、栃木はセットプレーにおいて入る場所を事前に決めたうえで、入り方やタイミングは選手の判断に委ねられていたという。一本目のCKから選手間で良い感触を得て、そのなかで再び臨んだセットプレーから得点を奪えたことは、得点までのプロセスを踏まえれば大きな自信になるだろう。栃木にとっては今季初のCKからの得点となった。

 

 

落ち着かせないハイプレス

 前回対戦と同様にロングボール合戦で試合は始まったが、前半15分を過ぎると徐々に町田が落ち着いてボールを持つ展開に。主にボランチの佐野が最終ラインに下りてボールを引き出しつつ、パスの出し手として左右に散らす役割を担っていた。

 

 ただ、3バック化する町田のビルドアップが効果的だったかと言われれば微妙なところだった。前節京都戦もそうだったように、栃木は3バックの相手に対してはツートップを縦関係にして、サイドの選手が一列上がってプレスする。SBの背後はボランチが埋めるため瞬間的に中央にスペースが出来やすい仕組みではあるが、強く圧力を受ける町田がこのスペースを使えた場面はほとんどなかった。

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 この日の栃木は、プレスのスイッチを入れたときの連動と、最終ラインのラインコントロールが非常に整っていた。栃木の素早い守備により町田にバックパスを強いると、そこをスイッチに全員が連動してプレスをかける。町田がロングボールで回避すれば、CBの田代と柳がほとんどのボールを弾き返すことができていた。CBのチャレンジ&カバーの関係性もここ数試合の課題を踏まえ、慎重に対応していたように見えた。

 

 ロングボールが増えると自ずと中盤でのセカンドボール争いが多くなるが、ここでも栃木が全体の距離感良く対応。前半40分、続く41分と中盤を制して明本がボールを持ち出してドリブル突破。そのうち、股抜きを含む3枚抜きを魅せた前半41分の仕掛けから得たCKが上述の先制点に繋がった。

 

 前半は栃木の1点リードで折り返し。

 

 

攻勢の町田にアジャストした栃木

 前半とは一転、ハーフタイムに選手を2人交代したことでテンポよくパスが回るようになった町田。ボランチが下りる形は前半同様だったが、トップ下に移った平戸がブロックの間でうまくボールを引き出すような立ち位置を取ったことでビルドアップが安定化。加えて、途中出場から右SHに入った岡田がサイドに張ったことで、後方からの対角フィードの受け手となり、右サイドを起点にしての攻撃回数が増えていった。

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 中盤では平戸のポジショニングによりプレスをかけ切れず、サイドでは岡田との一対一を何度も仕掛けられる。栃木にとって後半立ち上がりは最も苦しい時間だっただけに、後半14分の交代策は非常に的確だったと思う。起点を作られていた中盤には警告を受けていた西谷優希に変わって佐藤、何度も仕掛けられた左SBの位置には瀬川を投入。押し込まれていたポイントにフレッシュな選手を投入し、反撃の体勢を整えていった。

 

 さらには、ハイプレスを抑えて中央を閉じる守備に重心をややシフト。FWは背後の選手を背中で消し、それによってボランチが平戸をケアできるようになったことで、徐々に中盤で起点を作られる回数も減っていった。結果的には町田にボールを持たれる時間は増えたものの、目立ったピンチはほとんど作らせなかった。

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 飲水タイム明けの後半27分には森のシュートがGK秋元のエラーを誘い、栃木に追加点。ここまで決定力に苦しんでいた森にとっては、少し肩の荷が下りただろうか。

 

 2点のビハインドを負った町田は、水本と小田に変えて酒井と森村を投入。ボランチの佐野をCBに一列下げたのは、ボールを散らす役割を期待してのことだったと思うが、かえって矢野や明本との競り合いに敗れるシーンの方が目立ってしまった。右SBに入った酒井と右SH岡田の関係性もそれまでの小田に比べれば、決してプラスアルファを発揮できたとは言えないだろう。

 

 最後は栃木が敵陣でセーフティに時計の針を進めて試合終了。栃木は7試合ぶりのクリーンシートを達成。町田は5試合勝ちなしとなった。

 

 

最後に

 今季唯一2点差で敗れた町田に対して、今季初の2点差勝利。90分を通してやりたいサッカーを表現できたわけではなかったと思うが、これまでの課題やピッチ内でその時々に置かれている状況を踏まえたうえで、最善のプレーを選択できたからこそ崩れることはなかった。苦しい時間帯には監督やベンチメンバーから檄が飛んでいたように、チーム全体で掴んだ会心の勝利である。

 

 次節は中2日でアウェイ福岡戦。前線のフアンマをシンプルに生かす戦い方は、引き続き課題に取り組む栃木にとって絶好の対戦相手である。今節同様、勝利への貪欲さを見せることで前回対戦のリベンジを果たしてほしいところだ。

 

 

試合結果

栃木SC 2-0 FC町田ゼルビア

得点 43分 柳育崇(栃木)

   72分 森俊貴(栃木)

主審 窪田陽輔

観客 2,203人

会場 栃木県グリーンスタジアム

 

 

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