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【浸透していくストーミングサッカー】J2 第9節 栃木SC vs アルビレックス新潟(△0-0)

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スターティングメンバー

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栃木SC [4-4-2] 14位

 前節は群馬とのダービーに1-0で勝利。メンバーがガラリと変わっても一貫した戦い方を見せることができた。今節は明本が初めて最前線に入り、古巣対戦となる矢野と2トップを組んだ。

 

アルビレックス新潟 [4-4-2] 6位

 大味な試合をするイメージがあったが、ここ最近は得点も失点も少なめな新潟。ボランチタイプの選手を4人起用してきたのは驚きだったが、攻撃時はそれに応じた形に可変するスタイルをとっていた。

 なお、2015年に特別指定選手として栃木に所属していた田上はメンバー外となっている。

 

 

新潟の可変と背後への狙い

 試合前から予想されていたように、新潟がボールを支配し、栃木がプレッシングで応戦するという構図がはっきりとした立ち上がり。新潟はボールを持つと必ずと言っていいほど最終ラインを3人にセットし、それに合わせてSBが上がり、SHが内側に絞る形に可変する仕組みをとっていた。

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 内側にSHが入ってくるメリットは、バイタルエリアにアタッカーを増やして中央を厚くしつつ、SBが高い位置から攻撃に関われるようになることである。ここまでの対戦相手だと金沢がこのイメージ。SBのオーバーラップから厚みのある真ん中で仕留めるのが定石である。

 ただ、この試合の新潟は違ったアプローチをしているように見えた。SHの立ち位置はボランチとかなり近くなっており、一見3センターにも見える距離感。SBは積極的に高い位置を取らず、常にCBからパスを受けられる角度を維持していた。

 これの最大の狙いは、ボランチに前向きでボールを持たせることだったように見えた。前を向いたボランチが前のスペースや2トップに供給することで、栃木がブロックを作る前に素早く攻め切ろうという狙いだろう。前半16分には、CB舞行龍からの縦パスを秋山が落とし、ボランチの島田が素早くペドロマンジーに入れる場面があった。

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 この形に限らずとも、新潟のボランチは栃木の2トップの背後や脇のエリアから前を向いてロングパスを供給する場面がよく見られた。前線からプレッシングを行うために最終ラインを高くする栃木に対して、新潟は背後のスペースからチャンスをうかがっていく。新潟のSBの上がりが控えめだったのは、栃木のSBのプレッシングを誘ってその背後を突きたいと考えれば納得がいく。

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プレッシングと矢野貴章ポストプレー

 最前線に明本が入ったことでプレッシングの強度が一段と高くなった印象の栃木。連戦の最後とは思わせないハイプレッシャーから相手に圧力をかけていき、マイボールにするとシンプルに矢野のポストプレーを起点としてゴールに迫っていく。

 

 前半25分には、中盤でボールを回収した優希が素早く矢野へ入れると、矢野のポストプレーを起点に左サイドからのクロス→セカンドボール回収→右サイドからのクロスでゴール前にボールを供給。最後は再び矢野のポストプレーから明本がシュート直前にクリアされるという場面を作った。

 続く前半29分にも、瀬川のクロスにファーサイドで明本が折り返し、矢野のポストプレーから森が左足シュートを打つシーンを演出している。ここはGK藤田の好セーブ。今思えばここから乗らせてしまったか。

 そして前半38分、新潟のバックパスに対して2トップがプレッシングをかけると、明本がCB舞行龍からボールを奪取。GKと1vs1になった矢野だったが、ここもGK藤田の好セーブにあい、得点を奪うことができなかった。

 

 いずれのシーンも栃木が今季取り組むプレッシングと中央を意識した縦に早いプレーから作り出したチャンスシーン。飲水タイム以降、矢野にボールが集まる場面が増えたのは、コーチングスタッフからの指示だろうか。矢野のポストプレーの強さとセカンドボール回収率の高さから敵陣で効果的な攻撃を演出できていただけに、得点の匂いを大いに感じられる時間帯であった。

 

 

新潟の3人交代

 後半に入っても、積極的にプレッシングを行う栃木に対して、一列目を剥がすことができれば前線にロングボールを入れる新潟という構図は変わらず。互いにチャンスが少なく均衡状態のなか最初に動いたのは3枚替えを行った新潟だった。

 

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 交代後の新潟がボール保持時に意識していたのが幅と奥行きを取ること。

 右サイドはSB大本、左サイドはSH本間が幅を取ることで、フリーでボールを持てる回数が増加。右の大本はシルビーニョや中島との連携から縦に仕掛け、左の本間はカットインしながら中央を窺うなど、大外を起点に両サイドの個のクオリティから栃木を押し込んでいった。

 また、最前線に入ったシルビーニョは積極的な背後へのランニングからボールを引き出すことで、栃木の最終ラインを引き下げようとする場面もよく見られた。

 

 新潟の3枚替えから後半の飲水タイムまでが栃木にとって最も苦しんだ時間のように見えた。左右への揺さぶりや背後へのロングボールを繰り返されることでプレッシングで相手を上手くはめることができず、島田やゴンザレスが前向きでプレーできるようになり自陣に押し込まれるシーンが増えていった。

 

 

息を吹き返す栃木

 飲水タイムを経て栃木は前線の並びを修正。榊を本職の最前線に移し、明本を右サイドに、森を左サイドにチェンジ。押し込まれ気味だった左サイドの守備を安定化させると、再び前からのプレッシングと中央を閉じた守備からリズムを掴みはじめる。

 

 後半31分には、前からのプレッシングによりボールをGK藤田まで戻させると、藤田は左SB新井にロブパス。これに対して栃木はサイドにスライドし囲い込むことでマイボールにすると、最後は優希の浮き球スルーパスに走り込んだ森がGKと1vs1になる場面をつくった。

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 終盤には再び最前線に入った明本がプレッシングを牽引。運動量を落とさずに敵陣で新潟の選手を追い詰めていく。最終ラインからの縦パスに対しては、前に出るボランチとFWのプレスバックにより厳しく対応することで中央で自由を与えなかった。

 後半アディショナルタイムに森がピッチ中央を独走したカウンターをGK藤田が封じると、試合はここで終了。決定機の数で大きく上回った栃木にとっては悔しいドローとなった。

 

 

最後に

 3連戦の最終戦は厳しい気候下での試合となったが、最後までプレッシングの勢いを維持していた栃木にとっては内容自体は満足のいくものだったと言えるだろう。結果は付いてこなかったものの、連戦の最後にこのスタイルを貫けた意味は大きいと思う。これまでの試合のなかで最もストーミングを感じる試合だった。

 次節はアウェイ山口戦。一週間のインターバルはあるが、再開後初めての西日本遠征となる。今節同様、攻撃的な守備で相手をコントロールするような試合になることを期待したい。

 

 

試合結果

栃木SC 0-0 アルビレックス新潟

主審 高山啓義

観客 1,953人

会場 栃木県グリーンスタジアム

 

 

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