栃木SCのことをより考えるブログ

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【価値あるスコアレスドロー】J2 第36節 栃木SC vs 横浜FC(△0-0)

 今回は横浜FCとの試合を振り返ります。

 

 両チームのスタメンと配置はこちら。

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 ホームの栃木SCは前節東京ヴェルディに0-1で惜敗した。攻守において自分たちの狙いを見せ、難敵相手にあと一歩というところまで迫ったが、最後はセットプレーに泣いた。

 スタメンの変更は一人。前節ケガで途中交代した岡﨑に代わって古波津が今季2試合目のスタメンを飾った。

 

 アウェイの横浜FCは前節は山口に2-3で敗戦。ここのところ思うように勝ち点を詰めていないが、前線の強力2トップは健在だ。栃木としてはこの二人をどう抑えるかが鍵になってくる。

 スタメンは渡邊と出場停止の武田に代わって新井と永田が入った。ベンチには元栃木戦士の瀬沼、そしてキングこと三浦知良が控える。

 

 このカードの前回対戦は第10節(△0-0)。菅や田代ら最終ラインが横浜の2トップをガツンと抑えて完封に成功した。この時とメンバーは多少変わっているが同じようにしっかり抑えて、ゴールを奪って勝ちたいところだ。

 

 

前半

強力2トップの背後から現れる27番齋藤

 やはり横浜FCと言ったらイバとレアンドロドミンゲス(以下、ドミンゲスと呼ぶ。)の2トップである。「2年間J3を戦っている間にJ2も豪華な時代になったなぁ」と勝手に浦島太郎状態になっているところだが、それはさておき、栃木はこの強力2トップを自由にプレーさせないことがポイントになることは明確だ。

 ということで、栃木はイバにはパウロン、ドミンゲスには古波津を当てることでプレーを制限させた。ここ最近は途中出場などで西澤がボランチに入ることが多かったが、この試合ではドミンゲス番に古波津を抜擢した。対人プレーの強さを期待しての起用だろう。

 

 試合は序盤から前線の選手にロングボールを入れあう展開となった。栃木はへニキに、横浜はイバにボールを入れることで、彼らが収められなくてもセカンドボールを拾った方が攻撃、拾えなかった方が守備という一進一退の攻防になった。攻守の切り替わりが非常に早く、見てる側も息を抜けないスペクタクルな展開だった。

 

 次第にボールが落ち着くと、横浜はアンカーの佐藤を中心に地上戦を披露。この時目立ったのは27番の齋藤功佑だった。

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 前半の4分30秒前後のシーン。⑧佐藤がハーフウェーライン付近でボールを持つと、㊵ドミンゲスがボールを貰いに降りてきた。そこには古波津が対応。これにより古波津の背後にできたスペースには⑩イバが引いてパスを受けて⑧佐藤へリターン。この時栃木は縦幅をコンパクトに保つために最終ラインを上昇させた。するとその瞬間、IHの㉗齋藤が斜めにランニングをし、⑧佐藤からボールを引き出すことで一気に最終ラインの背後に侵入。栃木のブロックが間に合ったため大事には至らなかったが、2トップをおとりに使った2列目からの動き出しに着いていけず、序盤に危険なシーンを作られてしまった。

 

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 また、横浜はボール保持時の攻撃のなかで10番のイバがサイドに流れるシーンが頻繁に見られた。加えて、左右のCBも攻撃参加することで、サイドの密集からアタッキングゾーンを攻略しようという意図が見られた。前半33分、⑩イバが左サイド(栃木の右サイド)に流れると、そのイバからパウロン-浜下間を通すパスが出た。ギャップで受けた㉗齋藤は前を向いてプレーし、CKを獲得した。

 

 栃木は最終ラインに5枚置き、両シャドーも献身的なプレスバックでスペースを埋めていたため、最終的に崩れることはなかった。しかし、横浜の27番齋藤は本職FWということもあり、ボールをうまく引き出し前を向いてプレーするシーンが作られていたのも事実である。2列目の飛び出しに対するマークは今後より注意する必要があるだろう。

 

 

栃木は流れの中から攻撃を作れず

 人をかけて押し込む横浜に対して栃木は流れからチャンスを作ることはほとんどできなかった。そのためセットプレーから得点を奪うため、いくつか工夫が見られた。

 例えば、31分、ゴール正面31メートルの位置からのFK。西谷和の蹴ったボールは密集と逆側にいる服部目掛けて飛んだ。

 続く33分、手前側タッチラインからの福岡のロングスローはターゲットの頭ではなく、ニアに走り込む服部の足下へ入れダイレクトで中央へ入れようというものだった。

 横浜の目線の逆を付くセットプレーがいくつかパターン化され、ここ最近の試合の中ではロングスローも含めてターゲットの選手が最初にボールに触れることができていた。ただ最後のところで決めきれず、前半はスコアレスで終了した。

 

 

後半

前半と同じ展開

 後半に入ってからも前半同様一進一退の展開が続いた。横浜はボール保持時に左右のCB、特に左CBのヨンアピンがインナーラップを多用し積極的に前線に絡むなど攻撃に厚みを作ったが、そこから先が崩せなかった。

 攻勢に転じる横浜に対して栃木は、少しずつ押されて全体のラインが下がったため、自陣でブロックを作ることが多くなった。前プレは3CBへボールが返されるタイミングで行われたが回収とまではいかず、なかなかボールを奪うことができなかった。

 横浜のセットプレーの流れからクロスボールをキャッチした竹重が前線の西谷和へ好フィードを送る場面もあったが、栃木はこのような数少ないポジティブトランジション(守か攻撃に切り替わる局面)時でしかアタッキングゾーンに侵入することができない時間が続いていた。

 

 

共に選手と配置を変えて攻撃的に

 栃木は64分に浜下に代えてアレックスを投入。横浜は75分に藤井と新井に代えて渡邊と瀬沼がピッチに入った。これにより両チームともにフォーメーションを変更。栃木は3-3-2-2(ほぼ5-3-2)、横浜は4-4-2になった。

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 栃木は2トップ&3センターにすることで、へニキだけではカバーできない前線の高さを補充し、加えて先述したIHの動きに対してマーカーをはっきりさせて守備を整備することを狙いとしていた。

 ↓横山監督(栃木)の試合後コメント(アレックス投入に関するコメントは有料部分です…🙏)

 

 横浜は、渡邊を投入して中央の守備を固めたうえで後ろの枚数を減らし、FWの瀬沼を入れることで攻撃に重点を置いていた。瀬沼は攻撃時はトップの位置でプレーし、守備陣は右SHとしてプレーしていた。

 

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 栃木はこの交代により前プレの勢いが復活した。フォーメーション的にミスマッチが起きやすい状況ではあったが、両WBと3センターの全力スライドで対応した。交代後の79分のシーンでは、相手の配置に合わせてプレッシングを行い、また2トップもボランチへのパスコースを切ったり積極的にプレスバックしたりと、選手と配置に大きな変更があってもしっかり整理して対応できていた。

 

 

終盤、横浜の猛攻に耐えて価値ある勝ち点1をゲット

 試合終盤は両チームの気迫溢れるプレーの応酬だった。横浜がCKを獲得したときは何度前節の苦い記憶がよぎったことか。高さのある瀬沼もいたのでクロスボールが上がる度に栃木サポーターはヒヤヒヤしていたことだろう。

 ただ、栃木は前節をバネにパウロンや服部を中心に全員守備でボールを跳ね返し、最後の最後のドミンゲスのシュートも何とか枠外に打たせるなど運にも助けられた。試合はこのシュートを最後に、0-0のスコアレスドローで終了した。終盤の横浜の猛攻、そして前節からの改善を考えれば、十分価値ある勝ち点1だ。

 

 

最後に

 対戦相手の横浜はチーム状況的に前節のヴェルディと重なるところがあり、ホーム連戦となる栃木にとってはまさに前節の反省を生かす試合になった。攻撃面では引き続き課題を残したが、クリーンシートで終えた守備は改善の成果が表れただろう。今シーズン2試合ともスコアレスドローとなったこの対戦カードの決着は、また来季つけたいところだ。

 栃木の次の相手は大宮アルディージャ。横浜と同じくプレーオフ圏につけ、自動昇格圏を狙う強豪チームである。栃木としてはこれまで通りの堅い守備を維持しつつ、カウンターで一発を仕留めて勝利したい。そのためには多くの栃木サポーターの声援が必要となってくる。大宮は十分近い。みんなでNACK5スタジアムに乗り込もう!!

 

 

↓試合結果(Jリーグ公式サイト)↓

 

 

↓試合ハイライト(YouTube)↓