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【もうみんな栃木に家建てちゃいなよ!】栃木SCの2021シーズンを振り返る(GK&DF編)

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 2021シーズンは最終的に14位で終わった栃木SC。いつものシーズンであれば14位ならまぁそこそこな感じもしますが、まさか最終節直前まで残留が決まらないなんて想像もしませんでしたね。主力の相次ぐ引き抜き、上手くいかないハイプレス戦術、そして4チーム降格という厳しいレギュレーション。ちょっとマズイんじゃない?と思う時期もあるなど順位以上に苦しい1年となりました。それでも終盤は一回り成長した戦いぶりを見せてくれたと思います。

 そんなこんなでハラハラドキドキだった1年を今年も選手別に振り返っていきます。まずはGK・DFから!

※試合数、得点などはリーグ戦のもの

 

GK

1 川田 修平

19試合/1710分/23失点

 若手時代にあったムラが減り安心してゴールを任せられる選手になったと思う。もともと定評のあった至近距離のシュートストップはもちろん、飛び出しや味方へのコーチングなどこれまで先輩GKから学んできたものを遺憾無く発揮してくれた。第9節新潟戦(△2-2)や第17節京都戦(△0-0)ではビッグセーブ連発で、これがGKが当たってる試合か!と思った記憶がある。去年もそうだったけど京都との相性がめっぽう良いのは偶然だろうか。

 後半戦は帰ってきたオビからポジションを取り返せずベンチを温めたままシーズン終了。和田の退団が決まり、栃木のJ3時代を知る選手が少なくなっただけにぜひ残ってほしい選手の一人である。

 

15 岡 大生

1試合/90分/2失点

 甲府から加入したベテランGK。今季出場したのは第3節甲府戦(●1-2)と天皇杯2回戦の町田戦(〇2-0)のみ。今年のGK陣は序列が完全にはっきりしていたため、オビが加入してからはベンチ入りすら難しくなってしまった。去年は富山でポジションを掴んでいただけにカテゴリー次第ではまだまだやれるはずである。

 

39 東 ジョン

0試合/0分/0失点

 名古屋ユースからの昇格とともに栃木へ武者修行。実績ある3選手の牙城を崩すことはできなかったが、生まれ育った環境を離れてプロ1年目を過ごしたことは本人にとって大きな刺激になったのではないだろうか。名古屋のGK層はかなり厚いので去就は気になるところ。日本とニュージランドのハーフであり、コロナ禍でなければファンが殺到しそうなルックスの持ち主である。

 

50 オビ パウエル オビンナ

22試合/1980分/26失点

 去年に続いて今年も夏場に育成型期限付き移籍で加入。一度田坂サッカーに触れているだけあってスムーズにフィットした。加入して4日後のゲームでさっそく先発を飾ると、最終節までゴールマウスを守り続けた。

 プレーの面ではやはりキック力は最大の武器。一気に敵陣深くを取ることができるため、そのままセカンドを拾ってセットプレーへといったシンプルかつ手っ取り早い攻撃もオビ加入後は増えた。川田にも負けず劣らずのセービングは魅力的で、11試合勝ちなしで迎えた第27節愛媛戦(〇1-0)はオビなしでは勝てなかったといっても過言ではないだろう。二度のPKストップを見せた第39節長崎戦(●0-3)も記憶に新しい。

 来季はACLに出場するマリノスへの復帰が決定。栃木はいつでもウェルカムだが、ポテンシャルを考えればもうカテゴリーを下げる必要はないようにも思う。

 

DF

4 高杉 亮太

4試合/356分/0得点/0アシスト

 田代が抜け、柳が大きな重圧を背負うようになった開幕期を隣から支えたベテランCB。5月にアキレス腱断裂の大怪我を負ってからはシーズンのほとんどをリハビリに当てることとなった。シーズン終盤にはトレーニングに戻ってきたようだが、コンディションはどれだけ戻ってきただろうか。38歳を迎える来季は再起を懸けたシーズンとなる。

 

5 柳 育崇

42試合/3780分/8得点/0アシスト

 キャプテン兼DFリーダー兼ストライカー。 リーグ戦全試合フルタイム出場も達成し、まさに獅子奮迅の活躍だった。ちなみに天皇杯の2試合にも出場しているため公式戦はオールコンプリート。あまりの働きぶりに労働基準法に引っかからないか心配である。

 今季は第4節山形戦(〇2-1)のアディショナルタイム弾を皮切りにコンスタントにゴールを重ね、DFではリーグトップの8得点を記録。代名詞の強烈なヘディングはさることながら、第28節山口戦(〇3-2)の右足、第42節琉球戦(●1-2)の左足の強振は元FWらしいゴールへの嗅覚を感じさせた。とにかく気持ちいいゴールが多かった。

 若いチームのなかで常に味方を鼓舞し続ける姿はキャプテンシーの塊だった。最終戦で見せた涙は監督の有終の美を飾れなかったと同時に、プレッシャーからようやく解放された安堵もあったと思う。来季もともに戦ってほしい。

 

20 三國 ケネディエブス

24試合/1230分/0得点/0アシスト

 5月に育成型期限付き移籍で福岡から加入。世代別代表の常連で青森山田高校時代は選手権で一躍名を馳せたが、福岡がJ1に昇格したことから今季は出場機会を大幅に減らしていた。ちなみに今季ルヴァンではゴールを記録。

 高さ良し、スピード良しで栃木での初戦となった第15節松本戦(〇3-0)ではさっそく勝利に貢献。ただ、それ以降はチームの不調と重なるように三國のパフォーマンスも安定せず、押し込まれての守備でアワアワしてしまうところが目立つように。シーズンが進むにつれてクローザーか柳をパワープレーに専念させるための穴埋めとしての出場がメインになっていった。

 それでもまだまだ21歳。高卒3年目の世代と考えればこれからの成長の余地は大きい。秘めたポテンシャルを発揮できれば一気に飛躍できる雰囲気はプンプン漂っている。

 

22 小野寺 健也

23試合/1163分/1得点/0アシスト

 出場機会を求めて今季栃木のCB育成塾に加わった選手のひとり。出場ゼロに終わったルーキーイヤーを払拭するように序盤は柳とCBを形成した。跳ね返すパワー感は魅力で、当たり負けしない強さを備えていたが、強いて言えば出場時間のわりにイエローカードが多かったところが課題だろうか。三國が加入した5月以降はなかなか先発に絡むことができなくなっていった。

 風向きが変わったのが残留争いの渦中にあった第38節秋田戦(△1-1)。途中出場で初めてボランチとして起用されると、強みである高さを生かして相手のロングボール戦術を封殺。アウェイで連敗を止める原動力となると、続く第40節金沢戦(〇1-0)では残留争いのライバルに決勝点をあげる大仕事を成し遂げた。半年ぶりの先発起用に最高の形で応えることとなった。

 移籍元の山形はクラモフスキー監督の続投が決まっているだけに、もう一年栃木でチャレンジしても良いと思う。

 

26 面矢 行斗

21試合/1323分/1得点/3アシスト

 東海大学から加入した大型の左SB。開幕戦ではPKを与えてしまうほろ苦いデビューとなったが、高精度のキックとロングスローを武器に序盤戦のレギュラーに定着。プロ初ゴールをあげ、アシストも3つ記録するなどルーキーイヤーとしては立派な数字を残した。

 パワフルな見た目とは裏腹にクロスを上げるまでの足技やボディフェイントが上手く、元ポルトガル代表のクアレスマのようにアウトサイドでクロスを上げるなどインパクトあるプレーを披露。ちなみにフットボール批評ではドイツ代表のハルステンベルクを彷彿させると評された。

 一方守備面では改善の余地あり。プレッシングの判断や強度の部分で田坂監督の基準を満たすことができず、溝渕の加入後はベンチ入りすら厳しい立場に置かれてしまった。監督の変わる来季は再びレギュラーを目指す勝負のシーズンとなるだろう。

 

33 黒崎 隼人

20試合/1799分/0得点/1アシスト

 今季J1の大分へステップアップを果たすも、カテゴリーの違いに苦しみ夏場にカムバック。公式リリースよりも先に栃木のライブ配信企画で加入が発表されたため、大分界隈をザワつかせた。

 鋭く弧を描くクロスやプレッシングの強度は昨季同様に発揮。それに加えて半年間片野坂監督のもと学んできただけあって内外を取るポジショニングが柔軟になったように見えた。第32節大宮戦(●1-3)では谷内田のプロ初ゴールをアシスト。一人でゴール前まで持ち運ぶロングカウンターや弾丸ミドルなど積極的な攻撃アクションが多いだけに、来季は自身のプロ初ゴールといきたい。

 

36 乾 大知

20試合/1402分/1得点/0アシスト

 The安定感の守備職人。松本からの期限付き移籍で2年ぶりに加入すると、後半戦は柳と盤石のCBコンビを形成し、栃木のJ2残留に大きく貢献した。ハイプレスハイライン戦術のなかで背後を突かれるスピード勝負には手を焼くこともあったが、全体を通して失点に繋がるようなミスはほぼなかったんじゃないだろうか。予測を効かせた細かなラインコントロールや正面からのシュートブロックなど、守備は経験なんだなと改めて感じさせた。乾の経験あってこそ為せる落ち着きのおかげで柳も安定感が増していったように思う。

 栃木からの退団が決まり、移籍元の松本からも契約満了が決定。トライアウトには参加していなかったのでどこか移籍先が決まっているのかもしれない。

 

40 井出 敬大

0試合/0分/0得点/0アシスト

 出場2試合に留まった昨季のリベンジを懸けたシーズンになるはずだったが、5月に左膝外側半月板を損傷。同時期に負傷離脱した高杉とともに残りのシーズンはリハビリに費やすこととなった。おそらく来季はスタートから合流できるはずなので、柏ユース卒かつ左利きCBというロマンをピッチ上で表現してほしい。

 

49 溝渕 雄志

17試合/1518分/0得点/0アシスト

 夏に千葉から加入した昨季のレギュラーSB。本職は右サイドだが、今季も引き続き田坂監督によって魔改造された左SBとして出場を重ねた。去年もコンビを組んだ森との左サイドの連携は良好。加えて、タイプの全く異なる谷内田が前に入ったときは積極的なオーバーラップで谷内田のマークを引き付け、ハイパフォーマンスを陰ながら後押しした。プレッシングでは相手SBまで縦ズレするハードワークにも適応し、背後を取られてからの戻るスピードもさすがだった。なかなかタフな役回りは相当大変だったと思う。

 レンタル元の千葉は尹晶煥監督と契約を更新。今季千葉では3試合のみの出場と苦しんだだけに、去就は注目である。

 

 

『MF&FW編』へつづく!