栃木SCのことをより考えるブログ

主に栃木SCの試合分析(レビュー)をします。

【栃木SC】チーム編成についてアレコレ考える①(移籍動向編)

 劇的な結末で終えた2019シーズンから約1ヶ月半。年々短くなってゆくオフを経て、2020シーズンの栃木SCがついに始動しました。現在の契約選手は28人。ここまでの移籍動向を振り返りながら、今シーズンのチーム編成について考察していきます。

 

昨季の反省を踏まえた移籍動向

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 今年は18人が契約満了や移籍などでチームを離れ、13人が新たに加わりました。(1月19日現在)

 強化部長に山口さんを据えてから迎えた初めての長期オフとなったわけですが、ここまでの移籍動向は昨年のサポーターカンファレンスでも語られたように次の二つのポイントに沿って行われました。

 

・昨季ラスト10試合のスタイルに合う選手と契約すること

保有する選手数を適正にすること

 

 栃木は昨季J3降格を回避する20位に何とか滑り込みJ2残留を決めましたが、それはラスト10試合になった時点での大幅な戦術変更という賭けに勝利したからでした。第1節~第32節の勝ち点が25ポイント(一試合平均0.78ポイント)、第33節~第42節は15ポイント(同1.5ポイント)と、数字で見るとそれまでの二倍のペースで勝ち点を積み上げたことが分かります。11月の4試合に限っては実に一試合平均2.5ポイントと昇格するチームと同等の勝ち点を稼ぐことができました。

 逆転残留を演じたチームには「闘う」「団結力」といったキーワードが共有されていました。それは試合後の選手・監督のコメントからも窺うことができますし、どれだけ能力が高く、実績があったとしても、基準を満たさなければ出場できないという監督の起用法からも見て取ることができました。

 

 しかしながら、そこに至るまではプロフェッショナルとしてあるべき姿になれなかったという見方をすることもできます。ホームで逆転負けを喫した第20節愛媛戦後の会見で、田坂監督はチームの現状の意識面について、温度差があり「根が深い」と話しています。これには、抱える選手の数が多く、トレーニングのなかで一体感をどうしても生み出しにくいというマネジメントの問題も影響していたからではないかと思います。

 シーズン終盤、残留に向けて赤信号が灯ったことで、ようやくチーム全体を取り巻く環境に精神面の勇敢さが醸成されていき、加えて廣瀬浩二引退の報が入ったことで残留への機運が高まっていきました。その結果として逆転残留を果たすことができましたが、シーズンを通して見れば、選手だけでなく監督、スタッフにとっても非常に反省点の多いシーズンだったと思います。

 

 そうして迎えた新シーズン。チームは昨シーズンの課題、収穫を昇華し「ハードワーク」というテーマを掲げ、それに見合う選手編成を行いました。ベースはもちろん昨シーズンのラスト10試合。チームのために与えられた役割を忠実にこなし、自身のストロングを+‪αとして発揮できる選手たち。年齢構成も適度に分散し、各ポジションに期待の若手から経験豊富なベテランまでが在籍するような編成になりました。

 また、現時点での選手数も昨季と比べればかなりスリム化しています。昨季はキャンプ前で34人、その後若手選手がレンタルでチームを離れましたが、開幕前に新たに2人加わり、夏のウインドーでは4人増。最終的には約40人が在籍することとなり、トレーニングのなかでは紅白戦を3チーム設けるほどの大所帯となってしまいました。

 確かに、長く、中断のないJ2リーグ戦において、所属する選手数が多ければそれだけ不測の事態に備えることができます。昨季の大所帯も負傷による長期離脱者の続出に端を発したと捉えることもできます。ただ、現実的に考えれば栃木は一地方クラブに過ぎず、資金力もJ2平均以下とされるなかで、これだけ多く選手を抱えることは財政面、そして上述した練習面での質の担保という点についてもポジティブな面の方が少ないのではないでしょうか。

 そうした昨季の反省を踏まえると、今シーズンは現時点の28人+層の薄いポジションに最低限の補強を施すことで29〜31人程度で開幕を迎えると思われます。保有する選手数を適正に保つことができれば、自ずと多くの選手に出場機会は訪れます。トレーニングから試合出場に向けてアピールするというサイクルが軌道に乗れば、チームを纏う雰囲気により逞しさが増すでしょう。この雰囲気をいかに開幕までに作り上げ、そしてシーズンを通じて深化させることができるか。昨季の反省を全面的に生かし、その継続性のなかでチームを強化していける点は今季の強みになるのではと思います。

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ここまでの契約状況まとめ

 

今後の動向について

 新体制発表記者会見のなかで山口強化部長は「(補強は)基本的にはこれで打ち止め」と言及しましたが、次の点については今後の動向の余地があるのではないかと思います。(ここからは完全に推測の話です。)

 

①CB層の薄さを補う補強

 昨季からの継続路線ということを考えれば4バックを採用すると思いますが、現時点で本職CBは伊藤竜司、髙杉亮太、田代雅也の3人しかいません。特に、伊藤については昨季を負傷で棒に振っているだけに試合勘に不安が残ります。負傷によるリスクと、ポジション柄付きものである警告による出場停止を考慮すれば、2人程度の補強は必要になってくるでしょう。フリー選手の獲得か、それとも上位クラブからのレンタルか。いずれにしても、現状最も層の薄いポジションであることはもちろん強化部も認識しているでしょうし、今後の動向の可能性は大いにあると思います。(背番号3も空いていますし…)

 

②外国籍枠の使用

 現在栃木には海外にルーツを持つ選手が複数所属していますが、試合のエントリーにあたって外国籍枠として登録する選手は現在1人のみとなっています(韓勇太or禹相皓 ※JFA加盟チーム規則第10条)。昨季をはじめ、近年の栃木は枠いっぱいに外国籍枠を使用していた記憶がありますが、強化部長が変わったことで補強方針が変化したのでしょうか。新体制スタッフには渡辺ブルーノ英男通訳(ポルトガル語)が引き続きチームに残留していることから、今後ブラジル人選手などの獲得の可能性もあるかもしれません。

 

 

移籍動向編はここまで。ご覧いただきありがとうございました。選手編はまた後日更新します。