栃木SCのことをより考えるブログ

主に栃木SCの試合分析(レビュー)をします。

栃木SC 2023シーズンの展望

 

※2023シーズン開幕戦(vsロアッソ熊本)で配布されたココグリに寄稿した記事になります。

 

 栃木SCにとって真価が問われる1年になる。昨季就任した時崎監督は、これまで大事にしてきたハードワークをベースにアグレッシブに戦うスタイルを継承しつつ、攻守において相手を見て判断しながら戦う意識をチームに植え付けた。残留争いに巻き込まれるなど順位の上では奮わなかったが、時には繋ぎ、自陣からのビルドアップでゴールに迫るスタイルは新たな栃木SC像を印象づけるものだった。昨季終了後すぐに続投が発表されたのも、指揮官がチームにもたらしたものをクラブが高く評価している現れだろう。掴みつつある手応えを確かな自信に昇華できるか。飛躍の足がかりにしたい勝負の2年目である。

 なんと言っても今年の強みは例年にない更新組の人数の多さだ。昨季所属した選手が25人も残留するというのは近年のJ2では珍しい。戦術の浸透を図るうえで大きなアドバンテージになるだろう。プレシーズンのキャンプも無事終了し、積み上げを図る土台はここ数年のなかでは最も固まっているといえる。

 昨季の主力クラス数人がチームを去ったのはもちろん痛手ではあるが、そんな彼らが去った後の活躍に期待したいのが新加入選手たちである。岡崎亮平や福島隼斗は時崎監督のもとでのプレー経験があり、戦術理解の面で心配は少ない。大卒ルーキーの平松航と高嶋修也は高さだけでなくビルドアップ能力も兼ね備える現代型のDFだ。前線の山田雄士と安田虎士朗は得点力向上を図るラストピースになるポテンシャルを十分に秘めている。既存の選手も含めて、抜けた穴を埋めるに留まらないプレーをそれぞれが発揮できれば、チームの目標とするプレーオフ圏内への道は大きく開けるはずだ。

 今季のテーマについて、オフの動きも相まって「継続性」という言葉で表現されることが多いが、重要なのは良い部分を継続し、悪い部分は継続しないことである。その上で、継続した部分をより高いレベルに向上させることが「継続性」の本当の意味であり、最大の狙いだろう。チームとして継続すべき部分をしっかり定義し、そこに向かってアグレッシブに突き進む姿勢を示すことで、大混戦J2に割って入る、台風の目のような存在になることを期待したい。