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栃木SCの2019シーズンを振り返る ~選手編(GK、DF)~

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 最終節で逆転でのJ2残留を決めた栃木SC。戦い方を大きく変更したシーズン終盤戦はそれまで試合に絡めていなかった選手も出番を得るなど、多くの選手が試合に出場したシーズンにもなりました。今季の登録選手はレンタル移籍組を除いても35人超えの大所帯。今回、次回と、選手一人ひとりについて触れながら、紆余曲折の2019シーズンを振り返っていきます。

 まずは『GK、DF編』

 

GK

23 川田 修平

9試合(725分)/6失点

 今シーズン最も成長した選手の一人。栃木に加入して4年間なかなか出場機会は回ってこなかったが、ユヒョンの負傷した第35節以降はフルタイムでゴールマウスに鍵をかけた。時折見せるクロスへの鋭い飛び出しやビッグセーブはユヒョンを彷彿させるものであり、試合を重ねるごとに安定感が増していった。複数失点は1回のみ、クリーンシートは3回達成と数字での貢献も十分。早くも来シーズンの正GKに推す声が多いのも納得である。

 

35 浅沼 優瑠

0試合(0分)/0失点

 夏に相模原からレンタル加入。ユヒョンの負傷以降はベンチ入りを続けたが出場機会はなかった。貴重な左利きGKであり、YSCC横浜に所属していた時から配球には定評があったのでハマるチームを見つければ大化けしそう。おそらくレンタルバックになると思うので、新天地でも持ち前の明るさで頑張ってほしい。

 

50 ユ ヒョン

34試合(3055分)/47失点

 得点力不足のチームでありながら得失点差のアドバンテージを保つことができたのはユヒョンのおかげと言っても過言ではないだろう。元韓国代表という実績どおりのハイパフォーマンスで最終ラインを引き締めたほか、ピッチの外では兄貴肌な一面も見せた。若いイレジュン、途中加入のキムヒョンがスムーズにフィットできたのも韓国人先輩のサポートがあったからだろう。GKチームのリーダーとしても頼もしく、負傷により途中交代した第9節の柏戦では、スクランブル投入となった川田修平に対してベンチからジェスチャーでサインを送り続けた。もう栃木でプレーする姿を見られないのは寂しいが、まだ引退するような選手ではないので、負傷が癒えてからの活躍を期待したいと思う。

 

1 石川 慧(現サガン鳥栖

0試合(0分)/0失点

 今年から背番号を1に変更したのは正GK奪取の覚悟の表れだったと思うが、ベンチ入りもままならず、シーズン途中にサガン鳥栖へ移籍した。栃木で出場したのは昨シーズンの2試合(第1節大分戦、第21節千葉戦)のみだったが、ともにチームの調子が良くない時期だったこともあり、パフォーマンスを引き出せなかった印象。新天地でもコーチングの声量はチーム一の大きさなのだろうか。

 

DF

2 伊藤 竜司

0試合(0分)/0得点/0アシスト

 見た目は強面だが話すと優しいギャップ萌えDF。開幕直後のトレーニング中に靭帯断裂の大怪我を負ってしまい、そのままベンチ入りすらできずにシーズンが終わってしまった。再起を誓う来シーズンこそはピッチに立つ姿を見たい。

 

4 藤原 広太朗

27試合(2367分)/1得点/0アシスト

 新加入ながらキャプテンに就任し、慣れない3CBの中央のポジションでチームを後方から支えた。今季は最終ラインが総変わりし、また長身選手がいない状況のなかで、大型FWとマッチアップせざるを得なかったのは若干気の毒だったかなと。第14節大宮戦のフアンマに対するファールでの一発退場や第24節柏戦のオルンガに入れ替わられて失点したプレーは藤原自身のミスてもあるが、どちらかと言えばチーム全体のミスの累積を一手に引き受けたようにも思える。本来はクレバーなタイプで読みを生かしたインターセプトカバーリングを武器とする選手だと思うので、良い相棒を見つければ一気にスタメン復帰する可能性は大いにある。

 

7 菅 和範

9試合(555分)/0得点/0アシスト

 栃木の闘将は今シーズン怪我の影響もあり加入8年間で最も少ない出場時間となった。それでも出場したときのプレーぶりは闘将そのもの。屈強な相手FWにも引けを取らないタイトなディフェンスや味方を鼓舞する声は苦しい時期の長かったチームに前向きな姿勢をもたらしてくれた。4年前の降格を知る選手が少なくなるなか、経験者としてチームに危機感を植え付けたことで残留への機運を高めていくなど、ピッチ内外で彼の存在は欠かせないものになっている。もちろんラジオもである。

 

15 森下 怜哉

27試合(2376分)/1得点/0アシスト

 セレッソ大阪からレンタル移籍で加入。若干20歳ながらすでに公式戦80試合近く出場しており、即戦力として開幕からレギュラーに定着した。シーズン中盤戦はビハインド時のパワープレー要員として攻撃参加することもあったが、唯一決めた第16節アウェイ町田戦のゴールはパワーというよりはテクニカルなものだった。基本的には上手くて競れる選手なのだが、時折集中が途切れたように雑なパスや持ち上がりからロストしてしまう点は玉に瑕。若さゆえの部分でもあると思うので少しずつ成長していってほしい。

 どうでもいいことだが、筆者と誕生日が一緒である。

 

18 坂田 良太

1試合(8分)/0得点/0アシスト

 2017年第7節北九州戦で全治1年の大怪我を負い、復帰間近の2018年3月にはトレーニング中の負傷により再び長期離脱を余儀なくされた。担当医からはサッカーでは例がない、選手生命を脅かす怪我だと告げられたという。衝撃的な出来事に誰もが頭を抱えただろうが、そのなかでも一番前を向いていたのは坂田自身だったのかもしれない。

 第15節岡山戦で約2年ぶりにベンチ入りを果たすと、7/3に行われた天皇杯山形戦でフル出場を達成。二度に渡る大怪我、そして長期間の懸命なリハビリから見事に復帰してみせた瞬間だった。それ以降は出場機会は訪れなかったが、「やれる」ことを証明した来季はどのような活躍を見せてくれるのか楽しみである。

 

22 メンデス

1試合(90分)/0得点/0アシスト

 坂田と同じく二度の大怪我を乗り越え復帰を果たした。公式戦一年半ぶりの復帰戦となった天皇杯鹿島戦や第29節山形戦はさすがに試合勘不足を拭えなかったが、彼もまた大きな一歩を踏み出せたという意味では非常に価値のあるシーズンとなった。2017年J3で見せたような無双感を取り戻すことができれば、ビルドアップに力を入れたい田坂監督にとって貴重な左利きCBの補強となるだろう。

 

27 久富 良輔

31試合(2128分)/1得点/1アシスト

 右SBが主戦場だが3バック採用時は右CBや左右のWBを務めるなどプレーの幅を広げる一年となった。ポジション争いのライバルが多く途中出場する試合も多かったが、シーズンを通して試合に絡み続けた結果、DF陣のなかでは最多の試合出場数を記録した。スタミナが凄まじく、試合終盤でもサボらずにタッチライン際を上下動する姿は栃木サポーターにはお馴染みである。

 

28 温井 駿斗

5試合(331分)/0得点/0アシスト

 昨季も今季もシーズン序盤はレギュラー組だったが定着できずに次第にベンチからも外れていった。今季は本職ではない3バックの左CBとして起用されたことから、どうしても守備の脆さが目立ってしまった。左足のキックのクオリティは非常に高いが、同ポジションでその他のプレーもハイレベルにこなす瀬川が加入したことは彼の去就に少なからず影響を与えるだろうか。若い時期に試合に絡めないのは今後のキャリアにおいても致命傷になりかねないので、今オフは後悔のない決断をしてほしいと思う。

 

30 田代 雅也

28試合(2057分)/3得点/0アシスト

 個人的に今季のMVPに推したい選手。シーズン中盤まではなかなかスタメンに定着できず、イエローカードを2枚受けての退場やキャリア初の左SB起用など、慣れないチーム戦術のなかで苦しんだ印象のシーズンとなった。

 「闘える選手」として終盤戦のレギュラーに定着すると持ち前の対人守備の強さを十二分に発揮。それまでの苦しみから解放されたかのように生き生きとプレーする姿は終盤戦の快進撃を象徴するようであった。

 攻撃面での貢献も見逃すことはできない。今シーズンの3ゴールは全てセットプレーから決めたものであり、その内訳は、①意を決して戦術を大幅変更した第33節鹿児島戦の先制弾、②後のないチームに希望の光をもたらした第39節新潟戦の後半AT勝ち越し弾、そして③残留を手繰り寄せた最終節千葉戦の決勝弾。このうち一つでもゴールラインを割っていなかったら今頃栃木はどうなっていただろうか。

 プロ入り後、紆余曲折を経て栃木に辿り着いた男の労苦が報われたシーズンとなった。

 

33 黒﨑 隼人

0試合(0分)/0得点/0アシスト

 ジュニアユース、ユース出身選手が法政大学を経て地元に凱旋した。生粋の栃木人としてプレーを期待する声は高かったものの、開幕前に負った怪我が影響し、天皇杯山形戦でベンチ入り(出場なし)して以降はメンバーに入ることができなかった。来シーズンは同じく法政大学から下部組織出身である森俊貴の加入が内定しており、左サイドで森-黒﨑のホットラインを見られる日もそう遠くないのかもしれない。

 

36 乾 大知

19試合(1710分)/2得点/0アシスト

 夏に横浜FCからレンタル移籍で加入すると、登録して最初の試合の前半2分に挨拶代わりのヘディングシュートを決め、早々にサポーターの心を掴んだ。最終ラインが3枚でも4枚でも、相方が誰であってもプレーの安定感は抜群であり、加入後全ての試合でフルタイム出場を達成。窮地に追い込まれていた第41節長崎戦では決勝点を上げるなど、攻守において残留に大きく貢献した。保有元の横浜FCはJ1に昇格したが、自身の契約はどうなるのだろうか。ぜひ栃木に残ってほしい選手である。

 

44 福田 健介

6試合(415分)/0得点/0アシスト

 プレシーズンは練習生としてチームに帯同し、開幕直前に加入が発表された。両サイドをこなせるためシーズン序盤は多くの試合に絡んだが、第11節の出場を最後にピッチに立つことはなかった。第36節アウェイ甲府戦は6ヵ月ぶりのメンバー入りとなったが、古巣相手ということもあったのだろうか。

 

45 瀬川 和樹

18試合(1458分)/0得点/3アシスト

 第22節ホーム山口戦では山口の選手として出場していたが、その次のホーム戦では栃木の選手へと華麗な転身を遂げた。加入直後は山口との違いに苦しんだ様子だったが、終盤戦は大﨑とともに攻守においてアグレッシブなプレーを披露し、紛れもなく栃木の左サイドはストロングポイントとなった。プレースキックとクロスの精度は一級品であり、とりわけ記録した3つのアシストは全てCKによるもの。瀬川なしでは残留できなかったと言っても過言ではない。

 

3 ジョナス(7月に契約解除)

0試合(0分)/0得点/0アシスト

 プレシーズンのTMでは3CBの中央を務めていた記憶があるが、45分間見ただけなのでプレースタイルはほとんど分からない。190cm、80kgの恵体にはロマンを感じずにはいられなかったが、それを見せる機会は訪れなかった。契約解除後の去就が不明なので、知ってる方いたら教えてください。

 

※試合数などのスタッツは全てリーグ戦のもの

 

次回(MF、FW編)に続く!