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【J1は見逃してくれない】天皇杯2回戦 栃木SC vs 東京ヴェルディ

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スターティングメンバー

栃木SC 3-4-2-1 J3 9位

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 1回戦は山形県代表の大山サッカークラブに5-0で勝利。星野創輝のプロ初ゴールを含むハットトリックで快勝し、J1への挑戦権を手にすることができた。直近のリーグ戦からはスタメン11人を全員変更。リーグ戦で出場停止だった大森が最終ラインの中央に入り、ここ2試合欠場していた川名は先発復帰。ベンチには第2節で負傷して以来メンバー外が続いていたキャプテン佐藤祥が名を連ねた。

 

 

東京ヴェルディ 3-4-2-1 J1 13位

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 2回戦から登場する東京ヴェルディ。直近の公式戦ではルヴァン杯柏レイソルと対戦し、2試合合計1-5で敗れた。そこから中2日での試合となるが、ここで何とか仕切り直しを図りたいところだろう。その柏戦からは古巣対戦となる鈴木海音を除いてスタメンを10人変更。山見や福田などリーグ戦メンバーに加えて、フレッシュな選手も多いラインナップとなった。

 

 

 

マッチレビュー

▼敗因は失点の時間帯と仕方

 長らくJ2で鎬を削ってきた両チームだが、ともにカテゴリーが変わり、直接顔を合わせるのは1年半ぶり。栃木にとってはJ1クラブの胸を借りる気持ちで乗り込むアウェイゲームとなった。

 試合は開始早々に動く。4分、ロングボールを左サイドに流れてキープした山見が大森に倒されると、熊取谷のFKに合わせたのは綱島。ロースコアで試合を進めたかった栃木としてはさっそく出鼻をくじかれる幕開けとなってしまった。

 大森としては外側に釣り出されたことで焦って止めにいった格好だったが、このシーンに限らず、トップの山見と左シャドーの白井はポジションを入れ替えることが多かった。右サイドではシャドーの福田が頻繁に中盤に顔を出していたのを見ると、左右で異なるサイドの作りになっていたと言えるだろう。

 これと連動していたのが後ろからの繋ぎ出し。ボールを握るとボランチ(主に稲見)が鈴木海音と綱島の間に下りることで最終ラインを4枚にし、栃木の1トップ2シャドーによるプレスを牽制。最終ラインでミラーゲームにズレを生み出し、栃木の守備基準を乱れさせて生まれたスペースを山見が使う、といった仕組みになっていた。

 栃木としては相手の4枚回しを念頭に置きつつも、早い段階でビハインドになったことを考えれば、やはりプレスはかけ続けたい。ある程度全体の呼吸を揃えてプレスを試みるが、個々の技術がしっかりしたヴェルディのポゼッションを前になかなか制限をかけることができなかった。とりわけヴェルディの前線3枚はコンビネーションの質が高く、上手く捕まえたかに見えてもワンタッチで剥がされてしまうシーンが多かった。

 4枚回しによってボールを握られ、前からの守備もハマらない栃木だったが、15分を過ぎたあたりから両WBの頑張りによって少しずつ流れを引き戻していく。

 チームとしての狙いが窺えたのは左サイド。3バックの左CB木邨がサイド寄りにポジションを動かすと、これに合わせて川名は高い位置へ進出。ここに井出が絡みつつ、木邨or吉野が後方支援することで攻撃に厚みをもたらすことができていた。やはりボールの収まりどころとして計算できる川名の存在は大きく、後ろでの作り直しも含めて、徐々に時間をコントロールできるようになっていった。

 個人としてのパフォーマンスが目立っていたのは右WBの高橋。自分の目の前でズレを作られながらも、タイミングを見計らって相手に寄せていくことで高い守備強度を示していく。

 30分には、下りるシャドーに対して高橋がガツンと寄せることでボールを奪うと、敵陣で相手を押し込む展開に。ボールを左右に動かして重心を前に傾けていくと、左サイドから吉野が上げたクロスに逆サイドから飛び込んだのは高橋だった。高橋で始まり高橋で仕上げた得点で栃木が同点に追い付くことに成功した。

 同点に追い付くまでは後追いの守備が目立っていた栃木だったが、以降は守備からリズムを作れるように。依然ポゼッションはヴェルディに分があったものの、全体をコンパクトにセットし、パスを差し込んできたところに厳しく迎撃することで前進を阻むことができていた。

 しかし、前半終了間際、4枚回しからジワジワと重心を上げていくヴェルディにCKを献上すると、アウトスイングのボールに合わせたのは鈴木海音。再びセットプレーを仕留めたヴェルディが1点をリードしてハーフタイムを迎えた。

 

 後半、1点を追う栃木は前半同様に前からプレスをかける展開でスタート。対面の相手に次々と寄せていくことで、後ろの同数を受け入れながらボールホルダーに圧力をかけていく。

 しかし、50分にはこれが仇となり失点を許すことに。前からの守備に連動して寄せた高橋とラファエルが相手をタッチライン際に追い込むも、コンビネーションで剥がされると、大森-ラファエル間のスペースががら空きに。ヴェルディの左WB松橋に抜け出され、グラウンダーのクロスを受けた山見に決定的となる3点目を献上することとなった。

 この失点シーンはミラーゲームにおけるお手本のような崩しをされたと言えるだろう。対面の相手が厳しく寄せるのを逆手に取ってゴール前からCBを引きずり出し、歪んだスペースを突くようにコンビネーションでひっくり返す。プレスを剥がされた側は数的不利を埋めなければならず、失点の場面では大森がボールサイドに寄ったことで木邨との間にスペースができ、山見をフリーにしてしまった。

 4枚回しと下りる右シャドー福田によってなかなかボールを取り上げることができない栃木。ただ、59分にはビッグチャンス。敵陣で相手ボランチを囲い込んでボールを奪い取ると、吉野のスルーパスに抜け出したのは菅原。GKと1vs1を迎えたが、左足シュートは力んで相手GKの正面に飛んでしまった。

 これを逃すと、栃木は60分過ぎに4枚替えを敢行。1トップ2シャドーに長身FWをズラリと並べ、中盤には藤原を投入。分かりやすく前線のキャラクターを入れ替えることでここからダイレクトな色を前面に押し出していく。

 このシフトチェンジの旗頭となったのがトップに入った矢野貴章。後ろからアバウトなボールを引き出すように相手の3バック脇へのランニングを繰り返していく。そこで収められればベストだが、矢野に与えられた役割は相手を後ろ向きに走らせて、次の自分たちの前向きの守備をしっかりと機能させること。ダイナミックな攻撃と前向きの守備によって、試合の流れがやや栃木に傾いていったところで再びビッグチャンスを迎える。

 72分、高橋からのロングボールを矢野が絶妙な位置に落とすと、これを受けて背後に抜け出したのは小堀。そのままGKと1vs1を迎えたが、シュートを枠内に飛ばすことができなかった。長身FWを並べた交代策を積極的に背後を狙う采配から生まれた絶好機を生かすことはできなかった。

 これを決め切れず、直後にヴェルディがキャプテン森田晃樹を投入してからは完全に流れを失ってしまった感があった。特に前からの守備に関して、前線が自分の背中を消せないまま寄せてしまい、また最終ラインも押し上げられないため、間延びした中盤を通される場面が頻発。ダイレクトな攻撃を志向したことで前と後ろの呼吸が合わないというデメリットが上回った終盤だった。

 試合はこのまま1-3で終了。県予選から始まった栃木SC天皇杯はここで幕を下ろすこととなった。

 

 

 

最後に

 率直な感想として失点の時間帯と仕方に尽きるかなと思う。

 試合全体を通して見れば、ヴェルディにボールを握られながらも決定機を量産された訳ではなかったし、自分たちのポゼッションと前からの守備によって流れを掴んだ時間帯もそれなりにあった。ヴェルディが普段出場機会の少ない選手を起用してきたことは考慮しなければならないが、栃木も同様の選手を起用するなかで組織と個で通用した部分は随所にあった。

 それだけに立ち上がりや終わり際といった時間帯に失点し、またそのうち2失点をセットプレーから喫してしまうと、なかなか厳しいものがある。やられたという感覚が少ないにも関わらず、気付けば追いかける展開を強いられてしまう。そうした勝負の綾を見逃さないのがJ1チームであり、高いレベルで戦っているチームの試合運びと言えるだろう。目の前で試合巧者ぶりを示される一戦となった。

 

 

 

試合結果・ハイライト

2025.6.11 19:00K.O.

天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦

栃木SC 1-3 東京ヴェルディ

得点 4分 綱島 悠斗(東京V)

   32分 高橋 秀典(栃木)

   44分 鈴木 海音(東京V)

   50分 山見 大登(東京V)

主審 岡部 拓人

観客 2726人

会場 味の素スタジアム

 

 

 

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