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【「栃木の王者」に輝く完勝劇】NEZASカップ 決勝 栃木SC vs 栃木シティ

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スターティングメンバー

栃木SC 3-4-2-1 J3 10位

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 直近のリーグ戦は長野をカンセキスタジアムに迎え、後半アディショナルタイムの劇的ゴールでウノゼロ勝利。ともに途中出場となった藤原のCKに矢野が頭で合わせ、対長野初勝利を飾った。長野戦から中4日で迎えるこの日はスタメンを4人変更。星野や藤原らがスタメン入りし、2試合前のアウェイ北九州戦と同じラインナップとなった。

 

 

栃木シティ 4-1-2-3 J3 1位

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 FC大阪との首位攻防戦に2-1で勝利し、前節はアウェイは八戸とスコアレスドロー。上位との対戦が続いたGW連戦を負けなしで乗り切り、ついに首位に躍り出た。勢いそのままに3大会連続の優勝を目指す。直近の八戸戦からはスタメンを7人変更。FC大阪戦のメンバーをベースに、タオフィックジブリルが公式戦初の先発となった。

 

 

 

マッチレビュー

▼前からの守備を機能させられるか否か

 3月30日に行われたリーグ戦から約1ヶ月半を経て、再び顔を合わせることとなった両チーム。前回対戦では互いに1点ずつを取り合うドローゲームを演じたが、この日はカップ戦のため白黒はっきりつく試合となる。互いの意地とプライドをかけた栃木ダービー第2戦は栃木サッカーの聖地「グリスタ」で幕を開けた。

 まず良い入りを見せたのはこの日はホームエンドを取った栃木シティ。6分、右SB鈴木が五十嵐のプレスを剥がすと、そこから土佐→岡庭→ジブリルと中盤を横断するように斜めに前進。左サイドから押し込むと土佐のミドルシュートはGK川田がセーブ。その後のCKに合わせた小西のヘディングはポストを叩いた。

 栃木シティの攻撃は優先順位が整理されており非常にスピーディーだった。後ろでボールを動かしてSBで時間を作り、斜めに角度をつけたところから一列目を越えていく。中盤3枚はレシーバーとして臨機応変に顔を出し、ワイドの選手もピッチ幅一杯に立ち位置を取るため、一列目を越えさえすれば一気に前進できるという算段だっただろう。中盤への経由が難しければ最終ラインからワイドに長いボールを入れることで前からの守備を牽制する狙いだった。

 早々にヒヤリとさせられた栃木SCだったが、サイドの守備は非常に落ち着いていた。ワイドのキーマンとなる田中パウロに対してはダブルチームで対応。岩﨑や川名が攻撃を遅らせ、そこにプレスバックした選手が加わることでカットインからの左足を消していく。序盤に何度か仕掛けられたことでかえって守備のリズムを掴むことができた印象だった。

 栃木SCの攻撃は左サイドで川名が時間を作ったところから。前に持ち運ぶことで陣地を回復し、人数をかけた攻撃と逆サイドへの展開の両面から探っていく。前者は細かいパス交換で後ろの選手が飛び出していく形を演出。15分には青島が左のポケットを取り、ワイドで受けた川名のクロスは棚橋の手前でGKに弾かれてCKに。18分には岩﨑のグラウンダーの折り返しに棚橋が合わせたが、GK正面だった。

 18分のシーンでは、相手の最終ラインを押し下げる星野のランニングが効いていた。これによってマイナスの位置で棚橋がフリーになることができた。それ以外にも星野はポストプレーとランニングで重心の押し上げに大きく貢献。得点だけがFWの仕事ではないことをプレーで示しており、相手にとって嫌な存在となっていただろう。

 試合を動かしたのは直後のセットプレーから。ゴール前での藤原の直接FKはGK相澤に防がれたものの、それで得たCKを再び藤原が蹴ると、ニアで平松が逸らし、ゴール前で五十嵐が押し込んだ。守備でリズムを掴み、自分たちの攻撃を繰り出せるようになった時間帯で手にした先制点だった。

 リードを奪ってからハーフタイムを迎えるまでの時間は栃木シティに主導権を握られた。引き続きサイドでの守備対応は堅調だったものの、ミドルに構えるようになったことでプレッシングが鈍くなり、出し手を抑えられなくなった印象だった。

 とりわけ左右に揺さぶりながらポジションを内側に変えていく左SB奥井には手を焼くことに。通常ボールサイドと利き足が逆の選手は守備者側にボールを置くことになるためプレーしにくいのだが、右利きの奥井がパスコースを探せるくらいの余裕を与えてしまっていた。

 その結果出し手に制限がかからないままミドルに構えてコンパクトを保とうとするため、ライン間でのファールが目立った。プレスの出足そのものは決して悪くなかったが、大森のファールに見られたようにどうしても遅れてのアプローチが増えてしまった。

 それでも栃木シティは両SBを押し上げて勢いよく攻め込んでくるため、一つ前に持ち出せればカウンターのチャンスはあっただろう。37分、右SB鈴木の前進を川名がせき止めると左サイドからカウンター開始。川名のクロスに棚橋がヘディングで合わせたが、惜しくも枠を外れた。先制後にゴールに迫ることができたのはこのシーンくらいだったが、チーム全体で呼吸を合わせてシュートまで完結させられたお手本のようなカウンターだった。

 

 

▼入りの勢いで主導権を引き戻す

 後半は栃木SCが前からプレスをかける展開でスタート。出し手を自由にした前半の反省を受けて非常にアグレッシブな入りを見せていく。チーム全体のセカンドボールへの反応が早く、特にボランチ2人が前向きにボールを収めることで散らしたサイドからゴールに迫ることができていた。

 47分には棚橋とのコンビネーションから福森がペナルティエリア内に侵入し、奥井に後ろから倒されるもノーファール。続く48分と49分には棚橋にチャンスが訪れるもシュートを振り切れず。プレッシングの勢いそのままに敵陣でのプレータイムを増やすことができた後半立ち上がりだった。

 その流れのまま52分に追加点をゲット。中盤でセカンドを回収して左サイドの川名へ預けると、五十嵐との関係性からCKを獲得。このCKを藤原が入れると、ゴール前でフリーになった岩﨑が落ち着いてゴールに流し込んだ。岩﨑はこれがプロ初ゴール。リーグ戦では取れなかった追加点をあっさり決め切り、栃木シティを突き放すことに成功した。

 栃木シティ目線で言えば、GK相澤のロングボールが伸び過ぎてしまい、思うように栃木SCの陣形を引き伸ばせなかったことが劣勢を招く要因になっただろう。前からのプレスを牽制することがてきず、ロングボールが栃木SCの勢いを削ぎ落とす手立てにならなかった。時折切れ味鋭いカウンターを繰り出す場面もあったが、GK川田を中心とする守備陣の脅威にはならなかった。

 そうしている間にも栃木SCはチャンスを作り続ける。2点目を挙げた直後にはゴール前の混戦から右サイドに流れていた五十嵐のシュートはゴールラインすれすれを横切り、60分にはセットプレーの流れから星野のシュートはDFのゴールカバーによって阻まれた。

 67分には平松から縦パスを受けた五十嵐が前を向き、背後へのアクションを見せた棚橋へスルーパスを供給。これで最終ラインを置き去りにすると、ゴールマウスから飛び出してきたGK相澤の決定機阻止を誘発。相澤はレッドカードで退場となり、これで試合の大勢は決することとなった。

 ただ、数的優位になってからの試合運びは課題が残るものだったと言わざるを得ないだろう。4-2-3で前傾姿勢になった栃木シティに決定機までは作らせなかったものの、敵陣に生じたスペースへ攻め急いでしまい、かえってボールを握られてしまった。単調な攻撃に終始し、相手のペースに付き合ってしまった印象だった。ピッチ内の選手に落ち着くようにとジェスチャーを送る小林監督の姿も中継には抜かれていた。

 慣れない展開になったことで試合の締め方に課題は見えたが、スコアはこのまま動かずに試合終了。栃木SCが2-0で勝利を収め、天皇杯本戦への切符を勝ち取ることに成功した。

 

 

 

最後に

 タイトルをかけたダービーマッチということで、まずは結果が最も求められる試合できっちりと結果を残せたことは何よりも大きいだろう。その上で内容を伴わせることができたという手応えは間違いなく自信に繋がるはずである。相手の攻撃の特徴を捉えて、自分たちの準備してきた守備からペースを握り、新たな武器となっているセットプレーから2点をもぎ取った。特別な右足を持つ藤原健介の加入によって上昇気流の中にあるチームがリーグ首位の勢いを上回ったといえる試合だった。

 試合後の選手のコメントを聞く限り、この勝利をリーグ戦に繋げればいけないと、すでに目線は中位に留まるリーグ戦へ向いている。ここにたどり着くまでに時間はかかったが、ようやく2025年の栃木SCは軌道に乗ってきた。この流れを切らさずにここから反撃開始といきたいところだ。

 

 

 

試合結果

2025.5.11 13:00K.O.

NEZASカップ第30回栃木県サッカー選手権大会(天皇杯JFA第105回全日本サッカー選手権大会栃木県代表決定戦) 決勝

栃木SC 2-0 栃木シティ

得点 21分 五十嵐 太陽(栃木SC

   52分 岩﨑 博(栃木SC

主審 原 崇

観客 3331人

会場 栃木県グリーンスタジアム

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