栃木SCのことをより考えるブログ

主に栃木SCのことを書いています。

【磐石の戦いでリベンジ達成】NEZASカップ 準決勝 栃木SC vs ヴェルフェ矢板

f:id:y_tochi19:20250419153027p:image

スターティングメンバー

栃木SC 3-4-2-1 J3 12位

f:id:y_tochi19:20250427184238j:image

 8年ぶりに天皇杯県予選を戦う栃木SC。ヴェルフェ矢板との対戦は2016年以来9年ぶりとなるが、その前回対戦では同じく天皇杯県予選準決勝を戦い、0-1で足元をすくわれた。栃木SCにとっては9年越しのリベンジマッチとなる。この日の先発は普段のリーグ戦メンバーに一部若手を加えたラインナップ。4月18日に加入が発表された藤原健介はこの試合が栃木デビュー戦となる。

 

 

ヴェルフェ矢板 4-2-3-1 関東2部 4位

f:id:y_tochi19:20250427184240j:image

 現在は関東リーグ2部に所属しているヴェルフェ矢板。3月30日に行われた1回戦では栃木シティU-25に1-0で勝利を収め、栃木SCの待つ2回戦へ駒を進めてきた。目指すは9年前の再現だろう。栃木SCの下部組織出身である赤澤蓮、増渕利樹、床井直人がメンバー入りし、かつての古巣を相手に再びのジャイアントキリングに挑む。

 

 

マッチレビュー

 立ち上がりから試合の主導権を握ったのは栃木SC。4-4-2で構える相手に対してシステムのミスマッチを生かしながらボールを動かしていく。アバウトに長いボールを蹴っていたのは序盤のみで、それ以降はGKキックやリスタートを近くの味方に預けるなどアクチュアルな時間をできるだけ長くしようというスタンスだった。

 ベンチの小林監督からも頻繁に「動かせ!」「早く!」という言葉が飛んでいたように、とにかく前後左右にボールを動かして相手を走らせることが狙いだっただろう。ボールを動かして隙間が開いてくれば、そこを逃さずに縦パスを差し込む。初めは前から寄せてきていたヴェルフェ矢板だったが、15分を過ぎたあたりからはSHが下がって5バック、ないしは6バックで凌ぐようになっていった。

 そのなかで早速存在感を示していたのはこの日栃木デビューを飾った藤原だった。最終ラインからボールを引き取ると、臆することなくライン間に縦パスを差し込んでいく。サイドに広げるフィードも前方向のパスも味方の足元にズバッと差し込む鋭さは他の選手になかった特徴であり、同サイドの棚橋との関係性もすでに良好だった。

 重心がズルズルと下がる相手を尻目に3バックや藤原から次々とパスを差し込んでいく栃木SC。右サイドはライン間の棚橋を経由しての攻撃から。左サイドは川名と五十嵐による個人での突破からチャンスメイクを繰り返し、中央では星野のポストプレーが効いていた。どこからでも攻め込んでいけるような状況だった。

 そうしてペースを握ったまま25分に先制に成功する。CKの二次攻撃から左サイドにボールが流れると、川名が左足でネットに突き刺した。直後の27分にはボールを動かして相手を押し込み、こぼれ球を拾った青島が豪快にネットに突き刺した。リーグ戦では取れていなかった追加点をすぐさま奪うことができた。

 栃木SCのボール支配率は体感として70%くらいはあっただろう。それもただ相手のブロックの外側を動かすのではなく、状況を見ながら主体的に中と外を使い分けることができていた。ヴェルフェ矢板もトップ下の赤澤を落として4-5-1にすることで中盤中央に厚みをもたらしていたが、藤原を中心とした鋭いパスワークに歯止めが効かなかった。

 ヴェルフェ矢板としては敵陣にボールを運んでからは両SBを押し上げて2CB-2ボランチを軸に押し込みたいという狙いだっただろう。40分過ぎにようやく一度見られたが、それ以外は敵陣で自由にボールを持たせてもらえなかった。長いボールは平松を中心とした守備陣に完封され、カウンター局面でも青島の戻りの速さに遅れをとった。

 攻守において積極的にアクションを起こした栃木SCが終始ペースを握って前半終了。2-0でハーフタイムを迎えた。

 

 後半もおおむね前半と同じような流れでスタート。ヴェルフェ矢板は再三縦パスを通された藤原→棚橋のパスコースにあらかじめ左IHを立たせるようにしつつ、SHを前に押し出すことで守備に修正を施してきたが、栃木SCの勢いは止まらない。早々に2点を追加した栃木SCが一気に突き放すことに成功した。

 49分、福森と棚橋の関係性で右サイドを攻略すると、福森のクロスにドンピシャで合わせたのは五十嵐。57分には、藤原からの針の穴を通すパスを受けた棚橋がペナルティエリア内で倒され、これで得たPKを自ら決め切った。藤原→棚橋のホットラインで手にした得点だった。

 61分には3枚替えを行う中で大森が1列前にスライドし、途中出場の吉野とともに2ボランチを形成。それまでの2人と比べてやや守備に軸足を置いたタイプを並べることで中盤の守備強度を高めていく。

 大森と吉野はその期待どおり最終ライン手前のフィルター役として力強い守備を発揮していた。ルーズボールを強引に持ち出してそのままゴール前まで潜り込んでいくなど、それまでとはまた違った良さを見せていた。

 ただ、ボールの循環という面ではやや単調になってしまった感は否めない。シャドーに差し込むパスは減り、押し込む前にボールを失っていた点はやや気になった。ともに途中出場で右サイドに入ったWB高橋とCB高嶋がポジションを崩しながら攻め込む形は良かったが、やはりやり切れず、この頃にはボール支配は五分五分まで下がった印象だった。クイックリスタートから岩﨑の脇を突かれてクロスから失点を許したのはこの時間帯だった。

 しかし、試合全体を通して被決定機といえるのはこのシーンくらい。セットプレーからゴール前混戦になった場面でもシュートコースに身体を投げ出し、最後はGK鹿野の好セーブも光った。

 試合はこのまま4-1で終了。勝利を収めた栃木SCは9年前の同大会のリベンジを達成。先に勝利していた栃木シティの待つ決勝に駒を進めることとなった。

 

 

最後に

 ともすれば引いた相手をこじ開けることができずノーゴールのまま時間だけが過ぎていく_____、といった展開もあり得た中で、しっかりと得点を重ねて勝利できたことは自信に繋がるだろう。リーグ戦では引いた相手を崩すのに苦労する試合が続いており、ましてやカテゴリー差のある相手となれば堅く構えられてしまう恐れもあったが、自分たちの志向するスタイルでブロックをこじ開け、勢い冷めやらぬまま突き放すことができた。もちろんカテゴリー差は考慮しなければならないが、リーグ戦組が多いメンバー構成で公式戦の舞台でこれを経験できた意味は大きい。この流れをリーグ戦、そして栃木シティの待つ決勝に繋げていきたい。

 

 

 

試合結果

2025.4.27 14:00K.O.

NEZASカップ第30回栃木県サッカー選手権大会(天皇杯JFA第105回全日本サッカー選手権大会 栃木県代表決定戦) 準決勝

栃木SC 4-1 ヴェルフェ矢板

得点 25分 川名 連介(栃木)

   27分 青島 太一(栃木)

   49分 五十嵐 太陽(栃木)

   58分 棚橋 尭士(栃木)

   74分 武部 洸佑(矢板

観客 1792人

会場 栃木県グリーンスタジアム

主審 森田 秀一

f:id:y_tochi19:20250427193822j:image