栃木SCのことをより考えるブログ

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【耐える以外の選択肢】J3 第34節 栃木SC vs FC岐阜

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スターティングメンバー

栃木SC 3-4-2-1 9位

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 前節はアウェイでFC大阪に1-0で勝利。前半セットプレーから挙げた太田の得点を守り切り、プレーオフ圏内のチームを相手に貴重な勝ち点3をもぎ取った。他会場の結果により順位は変わらず9位のままだが、3試合ぶりのホームゲームで勢いに弾みをつけたいところだ。前節からのスタメンの変更は1人。岩崎に代わって木邨が2試合ぶりに先発となった。ベンチは福森と菅原が外れ、高嶋とセンゴールが入った。

 

 

FC岐阜 4-4-2 12位

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 ここまで11勝8分14敗、勝ち点41で12位につけるFC岐阜。今季は長らく下位に低迷したが、前愛媛監督の石丸清隆氏が指揮官に就任すると、成績がV字回復。第25節から怒涛の7連勝で勝ち点を一気に積み上げ、プレーオフ争いに加わってきた。現在は金沢、鹿児島に連敗中であるが、ここで立て直しを図りたいところだろう。前節からのスタメンの変更は3人。平瀬、横山、川本に代わって加藤、山谷、箱崎が入った。

 

 

▼前回対戦のマッチレビュー

 

 

マッチレビュー

▼非保持でペースを握る

 いよいよJ3リーグも残すは5試合。八戸、FC大阪とのアウェイ連戦を1勝1敗で終えた栃木はここからホーム連戦となる。6位金沢との勝ち点差は4ポイント。昇格に望みを繋ぐためにもこれ以上落とせない一戦だ。

 立ち上がりのロングボールを蹴り合う展開が終わると、試合は岐阜がボールを握り、栃木が非保持で対抗するという構図で進んでいく。

 この日の栃木は対4バックではお馴染みとなりつつある4-4-2でセット。川名が左SH、木邨が左SBに一つずつスライドし、前線は太田と棚橋が横並びになる。敵陣からミドルゾーンまでは4-4-2でコンパクトに構え、自陣では左サイドを落として5-4-1で幅を抑えるという仕組みだ。

 岐阜は4-4-2からあまり大きく可変しないため、栃木としては4-4-2でマッチアップを合わせれば前からの守備をハメやすい。ただ、厳密には互いのボランチどうしには距離がある。よって、栃木は藤原を前に押し出しつつ中盤には青島を留まらせ、最終ラインからは大森が積極的に迎撃することでライン間における守備のバランスを保っていた。

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 この4-4-2による守備が功を奏したのがPK獲得のシーンだ。ここでは左サイドでの守備が焦点となったため、藤原に加えて青島もプレスに参戦。これで前進を阻むと川名が相手SBを内側に追い込んでいき、最後は混戦から棚橋がペナルティエリア内で倒された。このPKを棚橋が落ち着いて決めて栃木が先制に成功。タイミングを見計らってプレッシャー強度を上げたところで一気に先制点を手にしたシーンだった。

 出鼻をくじかれた岐阜だったが、ロングボールのセカンドボールを拾うことでマイボールの時間を確保すると、徐々に準備してきた攻撃を示していく。

 岐阜の狙いは栃木の1列目の背中を取ることでプレスを空転させて撤退を促しつつ、自分たちは安定して前進することだっただろう。岐阜は繋ぎ出しの段階でSBが低い位置を取ることが多く、これで栃木のSH(中野・川名)を引き出し、空いたボランチ脇のスペースを起点に前進する形が非常に多かった。

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 ここでボールを受ける選手は様々。左サイドでは幅を取る泉澤を横目に左SB文仁柱が内側に潜ってきたり、得点力のあるボランチ北龍磨やダブルトップ下のようなイメージで箱崎・西谷が臨機応変に関わっていく。初めからこのポジションに人が立つのではなく、動きながらボールを受けて捌いてを繰り返すことで栃木の守備に捕まらないように人とボールを動かしていた。

 一方、右サイドはどちらかといえばシンプルに右SH山谷を生かす形が多め。2トップで栃木の3バックをピン留めすることで木邨と川名の間で前を向いたり、サイドを変えながら木邨の脇のスペースを突くことで起点を作っていく。栃木としては後ろ向きの対応を強いられた分、こちらのサイドの方がやや手を焼いたといえるだろう。

 それでも、ここの問題を根本的に抑えられたとまでは言えないものの、ピンチといえるシーンはほとんど作らせなかった。チーム全体のプレスバックの意識が相当高く、一つ剥がされても後ろの選手がディレイしている間に戻ってきた選手とともに挟み込むことで自陣でセーフティーに対応することができていた。

 とりわけ、相手のサイドアタッカーに曝される木邨をカバーするように戻ってくる青島や川名の帰陣は際立っていた。素早く囲い込んで回収すれば中野や太田を筆頭にロングカウンターを繰り出していく。クロスには5バックで手堅く対応。岐阜としてはそれなりにボールは握れたものの、全体的にストレスを抱えたポゼッションだったといえるだろう。

 栃木は栃木でロングボールとカウンター以外ではなかなか攻撃の起点を作れないでいたが、メリハリのついた守備とトランジションを掌握して岐阜にペースを握らせず。1点をリードしてハーフタイムを迎えた。

 

 

▼劣勢を跳ね返せず失点を重ねる

 ハーフタイムに岐阜は選手を交代。山谷に代わってトップに川本を投入し、西谷を右SHに移して後半を迎える。

 この交代策によって岐阜は攻守における前向きのベクトルが強くなった。川本は積極的に背後へのアクションを繰り返すことで後方から長いボールを引き出し、前で収められなくても素早く守備に切り替えてプレッシャーをかけていく。栃木のビルドアップに対しても鋭い出足で寄せることで落ち着いて繋がせない。

 加えて岐阜は後半から左SH泉澤も一つ前に押し出すことで、栃木の右CB高嶋まで寄せるようにしていた。前半の反省を受けて、川本とともに前向きのベクトルを明らかに強めていた。後半開始早々の46分、栃木は高嶋が泉澤に狙われ、内側を向いたところで川本に寄せられてボールロスト。川本の左足シュートは枠を外れたものの、さっそく冷や汗をかかされる立ち上がりとなった。

 高嶋へのパスを牽制するように泉澤がポジションを取るため、栃木としてはボールを右サイドに持っていけず、後ろの繋ぎが非常に窮屈になってしまった。平松やGK川田が大きく蹴り出さざるを得ない場面も少なくなく、太田のポストプレーに頼るしかない状況だった。後ろからボールを引き取った藤原もプレー精度を欠き、青島もボールサイドに関われず、攻撃の単発感は否めなかった。

 それでも、53分にはゴールにあと一歩というところまで迫ることができた。棚橋が左サイドを単独突破し、内側から追い越した太田がキープして川名へ広げると、縦への仕掛けでCKを獲得。このCKの流れからゴール前の混戦で中野と木邨に立て続けにシュートチャンスが訪れたが、相手DFに阻まれてネットを揺らすには至らなかった。

 前半以上にボール支配を強める岐阜は選手がボールサイドに流動的に関わることでテンポの良いポゼッションを敢行。2CB+右SB外山の3枚回し→2ボランチ+左SB文仁柱の3枚のレシーバー、の流れで栃木の1列目を難なく越え、その後はSHが幅を取った内側で多くの選手が入れ代わり立ち代わりボールに関わることで敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 劣勢を跳ね返したい栃木だが、この日は最終ラインに負傷者が相次ぎ、思うように交代カードを切ることができなかった。60分ごろに木邨が右肩を抑えて座り込むと、一度はプレーを続行したものの、64分の2枚替えを行った直後に今度は足を攣ってしまいプレー不可に。前半には大森がピッチを去っており、残り1回の交代回数を70分には切らなけれなならなかった。

 この時のスコアは1-0で栃木がリード。劣勢を堪えながら踏ん張っていた時間帯であり、ここを一つ乗り切ることができれば、矢野貴章を入れることで押し返す流れを作ることもできただろう。試合の流れを見ながらもう少し後の時間帯に切ることも考えていたはずだ。最終ラインの2枚をアクシデントで交代することとなった影響は大きく、劣勢を跳ね返すのに十分な手札を切ることができなかった。

 そんな栃木を尻目に岐阜は交代策でパワーアップを図る。65分に山田直輝、78分に荒木大吾を投入して前線を活性化させると、投入されたばかりの荒木がすぐさま同点弾を挙げる。このシーンを振り返ると、平松のクリアが不十分になったところで最終ラインが乱れてしまい、左サイドからのクロスに対して山田をフリーにし、続く荒木のプッシュを阻むことができなかった。ギリギリで保っていた守備を打ち破られてしまった。

 そして、85分には逆転弾を許してしまう。敵陣でのテンポを落とさない岐阜に対して守備が後手になると、3列目からスルスルと上がってきた福田にバイタルエリアから左隅に決められて失点。途中出場の左右CBは背後を取られた平松をカバーするには遠く、岩﨑の決死のスライディングもわずかに届かなかった。

 最終盤にはロングスローとクロスから岐阜のゴール前でイレギュラーを作ろうとするも、高嶋のヘディングは惜しくもバー直撃で万事休す。後半の2失点で逆転を許した栃木はホームで痛恨の黒星。6位争いから一歩後退することとなった。

 

 

選手寸評

GK 1 川田 修平
1失点目は混戦から掻き出すのが間に合わず、2失点目はノーチャンスだった。

DF 2 平松 航
木邨や大森のカバーを担いつつ、相方が高嶋になってからは自身が前に出て守備を行う比重を増やした。後半劣勢を強いられ、2失点に絡んでしまった。

DF 3 大森 博
前向きの守備で相手の受け手を厳しく規制した。身体を張った守備の後に痛めて交代。後半はベンチで試合を見守ったとのことで怪我が軽いことを祈りたい。

DF 37 木邨 優人
相手のサイドアタッカーと1vs1を強いられる場面が多く、後半半ばに足を攣ってしまい、交代を余儀なくされた。

MF 11 青島 太一
前半は左サイドのカバーに走り、身体を投げ出した守備で相手の攻撃を未然に抑え込めていたが、後半は相手の攻撃を制限できずに後追いとなった。

MF 18 川名 連介
前からの守備で相手のボールホルダーを捕まえて棚橋のPK獲得を誘発した。仕掛けてからのクロス精度をことごとく欠いた。

MF 22 高橋 秀典
持ち前の守備力の高さで対面の泉澤にほとんど仕事をさせなかった。中野がサイドに張ったときには内側でクロスに準備するなど関係性は良好。高嶋のバー直撃となったクロスも良かった。

MF 77 藤原 健介
ボールを握ってチームを落ち着かせようとしたが、全体的にプレー精度が低かった。累積による出場停止は避けたい。

FW 7 棚橋 尭士
前からの守備で獲得したPKを冷静に決め切った。状態の良さをキープできているため、流れからも1つ取りたい。

FW 32 太田 龍之介
相手CBに厳しく迎撃されながらも味方にボールを繋いだ。豪快なミドルシュートや左サイド突破など前線の頼みの綱となった。

FW 81 中野 克哉
カットインから1つ惜しいミドルシュートを放った。守備から攻撃に切り替わった時の出足が早く、カウンター局面で初めに中野にボールが入ることが多かった。

DF 40 高嶋 修也
大森の負傷により急遽ピッチイン。ビルドアップを狙われてしまい、思うようにボールを触れなかった。最後のヘディングは惜しかった。

DF 5 森 璃太
守備の時間が長く、なかなか前へ出ていけなかった。

MF 10 五十嵐 太陽
投入直後に挨拶代わりとなるシュートを放つなど、劣勢の流れを跳ね返そうと奮闘した。

FW 80 オタボー ケネス
チームの重心が低い状態では独力で打開するには無理がある印象。

DF 25 岩﨑 博
木邨の負傷によって20分間ほどプレー。2失点目は中央への絞りが甘かった。

 

 

最後に

 中盤から前の守備がハマらないときに自陣で耐える以外の選択肢として何ができるか?という点で後ろからのビルドアップも長いボールでの陣地回復も中途半端になってしまったなという印象。過去のチームと比べれば今季の栃木は比較的ボールを握れる方だと思うが、それがリーグの中で決して上手いとまでは言えないし、八戸やFC大阪ほどフィジカルを押し出したスタイルでピッチを支配できる訳でもない。色々器用にできる一方で、明確な武器を持ち合わせていないために打開策を見い出せず、守備の時間が長くなった結果、疲労が蓄積し、負傷者も相まって徐々に相手のビルドアップを抑えられなくなっていく。その末の劣勢と逆転負けだったように思う。

 

 

試合結果・ハイライト

2025.11.2 14:00K.O.

J3リーグ 第34節

栃木SC 1-2 FC岐阜

得点 13分 棚橋 尭士(栃木)

   78分 荒木 大吾(岐阜)

   85分 福田 晃斗(岐阜)

主審 植松 健太朗

観客 4863人

会場 カンセキスタジアムとちぎ