
スターティングメンバー
栃木SC 3-4-2-1 3位

開幕戦は高知と対戦し1-0で勝利。Jリーグ初参入の相手に対して苦しみながらも五十嵐太陽のゴールを守り切り、3年ぶりの開幕戦勝利を飾った。前節からのスタメンの変更はなし。庄司朗がベンチから外れ、代わって浦和から加入の堀内陽太が入った。五十嵐は地元凱旋。棚橋尭士は昨季半年過ごした古巣との対戦となる。
SC相模原 3-5-2 13位

栃木シティとの開幕戦は1-2で敗戦。高木彰人の得点でリードするも、勢いある相手の攻撃力を止められず逆転負けを喫した。前節からのスタメンの変更は1人。西山拓実に代わって中盤には筑波大からのルーキー竹内崇人が入った。コンビを組む島川俊郎とベンチの藤沼拓夢は古巣対戦となる。
マッチレビュー
▼アラートさを欠いた失点
前節はともにJFLからの昇格組と対戦し、対照的な結果となった両チーム。栃木にとっては開幕連勝、相模原にとっては今季初勝利をかけた試合となった。
試合は立ち上がり早々に動く。3分、相模原の右IH福井がクロスを上げると、ファーサイドで高野が折り返し、最後は中央で高木がフィニッシュ。高木は開幕戦に続いて連続ゴール。栃木は今季初失点となった。
失点シーンは相模原の攻撃の狙いがよく現れたものだった。福井がサイドに流れてWB裏を取ったタイミングで中央との距離が空いたゾーンに右CB加藤と左IH竹内が侵入。適切な距離感で福井をサポートしたことで攻撃のスピードを落とすことなく、佐藤祥や福森のカバーが間に合う前にクロスを上げることができた。WB裏を取ったタイミングで全体のスイッチが入り、攻撃をやり切ったことでゴールに繋がったシーンだった。

栃木目線で言えば、高橋のロングボール対応、岩﨑のサイド対応、大森の折り返しへの準備がマズかった。風の影響でボールが上空で止まるというエクスキューズがあったにしても対応がやや淡白だった。その後は危険なシーンを作らせず、これが決勝点になってしまったことを考えるとやはりもったいない失点だった。
▼速攻と遅攻を徐々に表現
ゴールシーンにも現れていたが、相模原はボールを握ったときの選手それぞれの関わりが非常に連動していた。チーム全体が繋がりを持ってボールを動かしており、そのなかでも特に栃木が手を焼いたのはアンカーの島川だった。
栃木の前から奪いにいくアプローチ自体は決して悪くなかったように思う。機動力ある前線がCBを追い越してGKまで寄せることも多く、強度もスピードも十分だった。ただ、その折々で島川に適切なタイミングでサポートされてしまい、なかなか奪いどころを定めることができなかった。中央でバランスを取る島川の役割はまさに相模原の心臓といったプレーだった。
失点してからの栃木はビハインドを取り返そうとやや縦に急ぎ過ぎていたような印象だった。攻撃は菅原のポストプレー頼み。それでも身体を入れて相手のファールを誘う技術は素晴らしいが、それ以外は偶発的な攻撃が多かった。何度か見られた森のサイド突破もクロス精度が伴わなかった。
そうした矢先に起こったのが佐藤祥の負傷交代である。直前の相手との接触によるものか、パスを出した後の非接触によるものかは分からないが、筋肉系のトラブルなのは明らか。前節デビューしたばかりの吉野に急遽託すこととなったが、ある意味試合展開としてはここで一つ落ち着きを取り戻すことができた。
相模原も三鬼が負傷交代したことでやや慎重になり、それによって栃木のプレスがハマるようになったことも要因といえるだろう。前半をやり過ごそうと5-3-2で堅く構える姿勢だった。
36分には敵陣でインターセプトした揚石が素早く前線にスルーパス。ボールを受けた菅原のシュートはGK正面へ。38分にはプレス連動からここも揚石が塞き止めて右サイド攻撃に繋げた。前半ATにはボールを握って左右に揺さぶるなかで吉野の3列目からの飛び出しも見ることができた。カウンターによる速攻と繋ぎによる遅攻を尻上がりに演出できるようになっていった前半だった。
▼ボールは握れたものの
後半はおおむね前半を焼き直したような展開で進んでいく。多くの時間で栃木がボールを握り、5-3-2で構える相模原のブロック崩しに挑むという構図だった。
前半の項では文量の都合で省いたが、後半も栃木の保持のプランは同じだった。3-4-2-1から両WBを押し上げて3-2-5を作り、そこからシャドーが斜め後ろに下がって相手の中盤の脇にポジションをとる。ここにボールを入れて前向きを作る場面もあれば、シャドーについてくる相手CBの背後にボールを入れて、WBの裏抜けとセカンド要員を同時に用意する形もあった。

後ろは相模原の2トップに対して3バックと2ボランチがいるため安定してボールを保持。下りるシャドーは相模原にとって捕まえにくい選手のためボールを握る難易度はそれほど高くなかった。
しかし、そこからの展開はなかなか厳しいものがあった。サイドに起点を作ることができても5バックが相手だと早めに縦を切られてしまい、時間をかけている間に3MFのスライドによってサイドに追い込まれてしまう。後ろからのやり直しばかりが目立つポゼッションに終始し、サイドから割っていくような可能性は見い出せなかった。
それでもやや光明といえるのは、これまで機能していなかった右サイドが棚橋と福森の組み合わせによってやや脅威を与えられたことだろうか。細かいパス交換でサイド突破を試みたり、棚橋がライン際を仕掛けるなど、小堀・森にはなかった色を見せることができた。この2試合を受けて、次節ファーストチョイスに変化を加える可能性は十分あるだろう。
一方の相模原も守れていたとはいえそれなりにキツかったように思う。武藤に変えて加藤拓己を投入したことで前線のパワーは増したものの、前半栃木を押し込んだ際に見られた流動性は減少。WBは最終ラインに張り付けられ、2トップで収められなければ攻撃の時間を作れないような展開だった。それでもリードしている立場としてメンタル的に割り切ることができる状況だったといえるだろう。
後半はモノトーンな展開で進み、大きな動きもなく0-1のままで試合終了。栃木は今季初黒星を喫し、連勝スタートを飾ることはできなかった。
選手寸評
GK 1 川田 修平
失点シーンはノーチャンス。攻められるシーンが少なかったため、あまり見せ場は訪れなかった。
DF 3 大森 博
失点シーンは逆サイドからの折り返しに反応が遅れた。それ以外は左右CBの背後のカバーやハイボール処理を卒なくこなした。
DF 22 高橋 秀典
寄せのアプローチは早くてもタイミング的に連動できていない場面が気になった。対人守備では粘り強さを見せた。
DF 25 岩﨑 博
前で潰せずに背後を突かれることもあったが、全体的には安定していた。ボールを握ったときの身のこなしには雰囲気がある。
MF 4 佐藤 祥
相手の流動的なポゼッションを制限できず、保持時の存在感も希薄だった。30分に筋肉系のトラブルで負傷交代。軽傷を祈りたい。
MF 5 森 璃太
セットプレーのキックの質は悪くなかったが、クロスは上げるタイミングも精度も相手の脅威にはならなかった。
MF 8 福森 健太
前半は特に高い位置でボールを引き取りながらポゼッションを落ち着かせようとしていた。佐藤祥からキャプテンマークを引き継ぎ球際で戦った。
MF 44 揚石 琉生
前からのプレスでサイドを限定できた際にはよく潰せていた。鋭い縦パスを差し込むなど持ち味を表現する場面が少しずつ増えてきている。
FW 9 菅原 龍之助
献身的な守備とポストプレーを90分間やり続けた。菅原のポストプレー頼みの時間帯もあり、上手くファールを誘うことで敵陣でのセットプレーに繋げた。開始早々のFKからのヘディングは惜しかった。
FW 10 五十嵐 太陽
GKまで寄せる二度追いやプレスバックなど守備面で気概を示した。ギャップで引き取ってからのターンは流石。周りとの連携も徐々に上がってきている印象。
FW 38 小堀 空
下りてボールを引き取ってもコントロールミスが多く、右サイドの攻撃が停滞した。競り合いも前節ほどアドバンテージを見せられなかった。
MF 47 吉野 陽翔
スクランブルでの投入となったが、違和感を感じさせないパフォーマンスだった。ボールの雲行きを読む予測が冴えており、球際バトルになりそうなところで先に触れた場面も多かった。
DF 33 ラファエル
いつも通りの対人の強さ。テンポを上げるようなボールの持ち方はあまり出来なかったが、縦パスを差し込もうという積極性は見えた。
FW 7 棚橋 尭士
投入直後のプレーで相手GKへのチェイシングからボールを足に当てたり、ターンしてライン際を持ち込もうとした。次節は先発なるか。
FW 18 川名 連介
早めに縦を切られてしまい強みを発揮できなかった。それでも簡単には失わずに近くの味方と連携しようというプレーを見せた。
MF 20 井出 真太郎
ボールが足元につかない場面が目立った。約20分のプレータイムが与えられ、昨季のリーグ戦での出場時間を超えた。ここから。
最後に
これだけがっちりゴール前を固められると流石に厳しいといった試合だった。まずはそうした状況を早々に招くこととなった失点を大きな反省材料として捉えたい。
ボールを支配するようになってからは、なんとかしてサイドを割っていこうと試行錯誤したが、3人目が絡んでいくような効果的なアクションはなかなか見られなかった。CBや3列目からの攻撃参加などポジションバランスを崩すことへの抵抗感が攻撃の硬さ、ひいては停滞感に繋がっているような印象である。一人で何でも出来る選手がいない以上、試行回数を増やすことでバリエーションを増やしていくしかないというのがチームの置かれている現在地といえるだろう。
試合結果・ハイライト
2025.2.22 14:00K.O.
J3 第2節
得点 3分 高木 彰人(相模原)
主審 酒井 達矢
観客 4993人
会場 相模原ギオンスタジアム