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【現実的なプランで白星スタート】J3 第1節 栃木SC vs 高知ユナイテッドSC

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スターティングメンバー

栃木SC 3-4-2-1 昨季J2 18位

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 昨季途中に就任した小林伸二監督が契約更新し、1年でのJ2復帰に向けて再出発を図る栃木SC。選手は半数が入れ替わり、開幕戦の先発には新加入選手6人が名を連ねた。ボランチには今季も主将を務める佐藤祥と昨季最終節にデビューした揚石琉生を起用。GKには昨季2ndキーパーだった川田修平が起用された。

 

高知ユナイテッドSC 3-5-2 昨季JFL 2位

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  YSCC横浜との入れ替え戦を制し、高知県初のJクラブとなった高知ユナイテッドSC。チームを昇格に導いた吉本監督は退団したものの、J3での指揮経験のある秋田豊新監督を迎え、初のJリーグに挑む体制は整った。先発のうち新加入選手は4人。右CB吉田知樹と右WB上月翔聖は昨季JFLベストイレブン入りの実績を持つ。

 

 

マッチレビュー

▼準備してきた形にクオリティを乗せる

 2016年に創設された高知とは今回が初対戦。Jリーグの先輩である栃木が昇格組で勢いのある相手をホームで迎え撃つ開幕戦となった。

 この日の栃木は90分を通してリスクを回避した開幕戦仕様の試合運びだったといえるだろう。プレシーズンで課題となったビルドアップのミスが現れないようリスクを排除し、後ろでの繋ぎを極力行わないようにしていた印象だった。

 そのため攻め手は菅原と小堀へのロングボールが中心。小堀がサイドライン際から内側へ落とすヘディングは昨季も見られた形である。セカンドボールの攻防は右サイドで頻発し、ボールを収めた揚石から佐藤祥や五十嵐を経由して左サイドに広げる流れはよく見られたシーンだった。左CB岩﨑のオーバーラップが目立ったのもこのためである。

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 対する高知も攻め手はロングボール中心。機動力のある2トップにボールを当ててそのセカンド回収から重心を押し上げていく。アタッキングサードではIHとWBの関係性でサイドを突破。とりわけ左サイドから水野が瞬間の速さでクロスを上げ切る場面が多かった。

 15分には水野のクロスにニアで新谷がつぶれてファーで小林がヘディング。栃木としては岩崎が新谷に釣られたことで福森との間が開いてしまった。2トップ2IHという中央の厚みを生かした攻撃から高知が自分たちの強みを押し出した序盤戦だった。

 しかし、先制点はホームの栃木に生まれる。21分、GK川田のロングキックを小堀が落とし、菅原のポストプレーから右サイドを前進。高い位置でボールを受けた森が狙い澄ましてクロスを上げると、巧みな動き出しで合わせたのは五十嵐だった。右サイドへのロングボールで起点を作るプランはこの日の狙いどおり。クロスが弱点というスカウティングも含め、準備してきた形から新10番による得点で均衡を破ることに成功した。

 ここまでやや押されていた栃木が出し手と受け手のクオリティで先制すると、試合は再び五分五分の展開で推移。ただ、サイドに広げてからの展開ではペナルティエリア内にあらかじめ人数を割ける高知の方が迫力はあった。左サイドから右足クロスで2度危険なシーンを作られたほか、CKから決定的なシュートをGK川田のビッグセーブで辛うじて凌いだシーンもあった。

 この日の栃木は左サイドに時間ができる仕組みだったが、中央の選手との関わりは希薄だった。福森が黒子に徹したことでどちらかといえば五十嵐や岩﨑の方が目立ったが、一人称の仕掛けが多かった印象。試行回数は少なくなかっただけに、ここの連携は試合を重ねて高めていきたい部分である。

 

 

▼展開をコントロールし切れず

 ロングボールとセカンド争いが頻発する展開は後半も継続。リードして折り返した栃木は前半同様に菅原と小堀にボールを集めていく一方で、高知は空中戦をフリにした繋ぎで攻撃にアレンジを加えていく。

 後半の高知は栃木の中盤に対して負荷をかけるように立ち位置を取り、ボールを回していた。前半はフラットだった2トップを縦関係に変更し、新谷がより自由に前線のポジションを取るように。中盤を2枚で構成する栃木は高知の3枚の中盤と新谷をケアしなければならず、IHの高野や須藤へのスライドで後手を踏むようになっていった。

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 とりわけ揚石の右脇のスペースはウィークポイントだった。左サイドは佐藤祥の守備力でなんとかカバーできていたものの、右サイドは歯止めが効かず。前からのプレスでエラーが発生する場面も見られた。図は49分のシーンだが、右WB森が一つ前に出て左CBにプレスをかけた際に揚石のスライドが間に合わず、左IH高野をフリーに。新谷とのパス交換から潜られてしまい、最後は佐藤祥がファールで止めることとなった。結果的にスペースを明け渡すプレスとなってしまったシーンだった。

 これに加えて、高知は右WBの上月が出し手として非常に効果的にゲームメイクしていた。展開を落ち着かせられる選手としてボールが集まっていた印象である。彼が長短のパスで試合をコントロールし、時には自ら仕掛けてクロスを上げるなど前半よりも存在感を示していた。

 システムのミスマッチと個人の能力によってペースを握る高知に対して、栃木はそうした状況をなかなか作り出せなかった。後ろからのビルドアップではボランチが関われず、外回しの繋ぎから最後は蹴り出す流れに終始。どうしても縦に早くなってしまうため、即興的なコンビネーションに頼らざるを得ず、ロストしては守備に回る流れを繰り返してしまった。

 よって、後半は時間の経過とともに圧力を増してくる高知のクロス攻撃にさらされることとなったが、なんとか最後の局面ではやらせなかった。最終ラインは3人とも対人守備が非常に強く、危険なシーンでは身体を投げ出していく。球際の強度も強く、良いときの栃木らしい泥臭いディフェンスの連続だった。

 このまま栃木が虎の子の1点を守りきって試合終了。苦しみながらも開幕戦を白星で飾ることに成功した。

 

 

選手寸評

GK 1 川田 修平
チームのピンチを救うビッグセーブで無失点に貢献。パンチングとキャッチの判断が冴えており、非常に安定感があった。

DF 3 大森 博
空中戦の競り合いはおおむね完勝。危険なボールをセーフティーに切る判断も適切だった。CBのセンターの選手としてもう少しラインを高く押し上げたい。

DF 22 高橋 秀典
ロングボールに対して脅威のジャンプ力で相手を抑え込んだ。大森とのチャレンジ&カバーの関係性も良かった。時折攻撃参加も見せた。

DF 25 岩﨑 博
上背の高さと機動力を生かしてデビュー戦をクリーンシートで飾った。大柄だが足元の技術も高く、相手の股を抜こうとした場面も。ロングスローも魅力的で、大卒ルーキーということを忘れるほどのハイパフォーマンスだった。

MF 4 佐藤 祥
今季も高いボールハント能力は健在。最終ラインの手前でフィルターとなり、次々と球際バトルに身を投げ出した。

MF 5 森 璃太
五十嵐の先制点をアシストした。今季のプレースキッカーを務めるなど、セットプレーやクロスにおいて様々な球種を持っていそうな予感。

MF 8 福森 健太
五十嵐や岩﨑に預ける場面が多かったのは福森なりの配慮だろう。左足の精度が伴わなかった点は少々気になるところ。

MF 44 揚石 琉生
相手の寄せに遭い判断が遅れる場面もあったが、時間の経過とともに慣れていった。昨季最終節よりも長い時間プレーできた。

FW 9 菅原 龍之助
力強いポストプレーとハードワークを最後まで切らさなかった。先制点に導いたポストプレーには0.5アシストをあげたい。

FW 10 五十嵐 太陽
開始早々にポスト直撃のシュートを放つと、21分には巧みな動き出しから先制点をゲット。ボールが空中を飛び交う大味な展開となったが、随所に上手さを見せた。

FW 38 小堀 空
足元への要求は少なく、あくまでもターゲット役に徹した。開始早々にファーストシュートを放ったが、その後が続かなかった。

FW 18 川名 連介
サイドから切れ味抜群のドリブルを披露。コンディションさえ整えば今季もサイドを掻き回す存在として重宝されるはず。

FW 7 棚橋  尭士
守備に走らされる時間が長く、ゴール前で足を振るようなシチュエーションは訪れなかった。

MF 47 吉野 陽翔
ユースの後輩である揚石からバトンを引き継ぎプロデビュー。相手の突破を巧みに奪い取るシーンが1度あった。

DF 33 ラファエル
相手のクロス連発に落ち着いて対処した。

 

 

最後に

 初参入の高知にこれだけ苦しめられ、他会場では同じ降格組の2チームが勝ち切れなかったことを考えれば、J3が簡単なリーグではないことは明らか。現実的なプランに徹したことでなんとか白星スタートを切ることができたが、J3で戦う難しさを改めて突きつけられた開幕戦だったといえるだろう。

 それでもまずは開幕戦を勝利で飾れたことを大いに喜びたい。優勝を掲げて取り組んできたプレシーズンの成果を真っ先に結果として残すことができた。手応えとしてはイマイチかもしれないが、勝ち点を積み上げながら課題に向き合えることは非常にポジティブである。開幕戦で100点を出す必要はないので、徐々に色付けしていく方向性で長いシーズンを戦っていきたい。

 

 

試合結果・ハイライト

2025.2.16 14:00K.O.

J3 第1節

栃木SC 1-0 高知ユナイテッドSC

得点 21分 五十嵐 太陽(栃木)

主審 瀬田 貴仁

観客 6521人

会場 カンセキスタジアムとちぎ