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主に栃木SCの試合分析(レビュー)をします。

栃木SCの2020シーズンを振り返る(選手別レビュー MF&FW編)

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MF

5 岩間 雄大

32試合/1979分/1得点/0アシスト

 怪我に苦しんだ昨季とは見違えるように今季は怪我なくフルシーズンをやり切った。栃木の守備戦術ではボランチに広い範囲をカバーする豊富な運動量を求められるが、他のどのボランチと組んでも難無くこなす安定感があった。とりわけ相手のカウンターの芽を摘む予測やセカンドボールへの反応の早さはまさにベテランの味。縁の下の力持ち的存在でチームを支えた。自分たちのセットプレーのこぼれ球への反応も良く、第39節群馬戦(△2-2)ではポスト直撃のミドルシュートで初得点を記録。契約満了での退団が惜しい選手である。

 

8 明本 考浩

40試合/3384分/7得点/8アシスト

 国士舘大学から加入したアカデミー出身選手はたった1年間の所属で栃木の象徴的存在になった。最大の特徴は二度追い三度追いは当たり前の底知れない運動量。とにかく相手を追い回す積極的なプレスは見る者を唸らせ、連戦続きのリーグ戦でそれを休みなくやり続ける体力は異次元だった。個人的ベストゴールは第16節北九州戦(△2-2)であげたもの。体幹の強さとシュートの上手さが際立つ。

 7得点、8アシストはともにチームトップの数字。浦和へのステップアップはもちろんチームにとっては痛いが、そもそも大学時代にJ1クラブからオファーがあったほどの逸材である。アカデミー出身の期待の星として今後の行く末に注目である。

 

11 平岡 翼

2試合/9分/0得点/0アシスト

 加入2年目となった今季は怪我に悩まされ、2試合に途中出場するのみに留まった。まとまった時間見られていないため昨季の印象になってしまうが、ドリブル時の身体の使い方やフィニッシュ時の落ち着きを身につければ、武器とする爆発的なスピードをより生かせるはずである。今治への移籍が決定した来季こそ平岡らしさを見せつけてほしい。

 

13 禹 相皓

17試合/618分/0得点/0アシスト

 愛媛から加入したボランチ。当たり負けしない体の強さやボールを持つ局面での配球の上手さは見せたが、過密日程のローテーション要員から上回ることができなかった。時折スライドが遅れてしまいプレーの連続性を保てなかったところが評価を上げられなかった要因かなと。

 第33節徳島戦(●0-2)でのオウンゴールはゴール前を埋めたからこそ生じた不運なアクシデント。仕方ない側面ではあるが、交代でピッチを退いて以降は一度もメンバー入りできずに契約満了となってしまったのは何ともいたたまれない結果である。加入直後に名前を辞書登録した選手の一人。

 

14 西谷 優希

35試合/2265分/2得点/1アシスト

 栃木加入3年目でようやくボランチの定位置を掴んだ地元出身選手。武闘派が並ぶボランチのなかでは唯一の司令塔タイプであり、左右へのボールの散らしや楔のパスから攻撃にリズムをもたらした。第15節甲府戦(〇1-0)でJ初得点を記録。続く第16節北九州戦(△2-2)では今季ベスト級の鮮やかなミドルシュートを決めた。

 プライベートではクラブのライブ配信企画で入籍を発表。公私共に順調なノリに乗っている選手である。

 

17 山本 廉

31試合/1683分/2得点/1アシスト

 成長著しいユース昇格3年目のイケメン。第4節千葉戦(〇1-0)で初ベンチ入りからのデビューを飾ると、第19節松本戦(△1-1)ではJ初ゴールを記録。第38節群馬戦(△2-2)で決めた得点もそうだが左足で持ったときのシュートレンジの広さは相当自信を持っているように感じる。

 本職ボランチのためパスやトラップの技術の高さはもちろん、ボールを持ったときの良い姿勢から相手の逆を突くプレーをすることもできる。ハイプレス戦術にもフィットしてきたことで守備強度も上がってきているので、そろそろ本職のポジションで見てみたい気もする。

 

18 森 俊貴

38試合/3275分/5得点/2アシスト

 天皇杯ガンバ大阪を破ったことでも話題になった法政大学から今季加入したアカデミー出身選手。第2節山形戦(●0-1)で途中出場からプロデビューを飾ると、その後はローテーションでメンバー外になった3試合を除く、全37試合で先発出場を果たした。

 明本に負けず劣らずの運動量を備えており、押し込まれた状態からドリブルで持ち運ぶロングカウンターだったり、最終盤まで落ちないプレッシングはチームの推進力を大きく支えた。第22節町田戦(〇2-0)ではプロ初得点を記録。ラッキーな形ではあったが、その後は後半戦だけで5得点をあげたことを考えれば、一点目の重圧から解き放たれた影響は大きかったように思う。

 明本の活躍の陰に隠れがちだが大卒ルーキーイヤーでこの成績は十分誇れるものである。

 

21 大﨑 淳矢

10試合/487分/1得点/0アシスト

 残留争いに巻き込まれた昨季は後ろの瀬川とともに鋭いプレッシングと高い攻撃センスで左サイドを掌握。残留の立役者として今季の活躍も期待されたが、度重なる負傷に泣かされ出場時間を確保することができなかった。第8節群馬戦(〇1-0)ではチームとして掲げる中央突破を大﨑のシュート技術で仕上げる見事な決勝点だった。

 来季は地元富山へ移籍。29歳という年齢を考えれば怪我がなければまだまだやれる選手である。

 

24 和田 達也

5試合/85分/0得点/0アシスト

 2018年は左膝前十字靭帯断裂、今季は右膝前十字靭帯断裂と近年は怪我に悩まされている。SHを主戦場にボランチもSBもポリバレントにこなせる柔軟性は大きな武器であり、チームに一人置いておきたい選手である。ただ、和田といえばこれ!という強みが見えにくい側面もあると思うので、 怪我が癒えてからの夏以降は勝負の半シーズンになると思う。

 

25 佐藤 祥

35試合/2643分/0得点/1アシスト

 群馬から加入したボールを狩り取れるタイプのボランチ。3人くらいいるんじゃないかと思わせるほどの豊富な運動量でピッチを駆け回り、寄せるだけでなく奪い取る守備で栃木のプレッシング戦術の回収地点となった。怪我で離脱した時期もあったが、先発29試合はボランチでは最多の数字。マイボールにしたあとの最初のパスやシュート精度の部分が向上すれば、相手にとってより嫌な存在になれる。

 2018年には水戸、2019年には群馬、そして2020年は栃木に所属し、これで尾本敬に続く北関東3チームに所属した2人目?の選手になった。(間違っていたら教えてください。)

 

32 荒井 秀賀

0試合/0分/0得点/0アシスト

 昨季はデビュー戦の天皇杯でアシストを決め、リーグ戦には2試合出場。同い年の同期4人のなかでは頭一つ抜け出した印象だったが、プレシーズンの負傷により出遅れた今季は試合に絡むことができなかった。決して厚くないボランチ層でベンチにも入れないとさすがに厳しい。契約満了が発表される前にトライアウト参加が報じられたため、栃木界隈がザワついた。

 

37 早乙女 達海

0試合/0分/0得点/0アシスト

 ユース昇格3年目の栃木産プレイヤー。1年目、2年目は東北1部のブランデュー弘前での武者修行で27試合に出場し29得点をあげた。地域リーグでは違いを見せつけ、満を持して迎えた今季だったが、試合への出場は叶わなかった。後輩小堀のトップチーム昇格も決まっており、このままでは厳しい立ち位置になるが去就はどうなるか。

 

 

FW

9 エスクデロ 競飛王

30試合/1186分/0得点/1アシスト

 今季のチームの一体感の強さはエスクデロの存在抜きで語ることはできない。試合前のウォーミングアップやSNSでの発信では陽気かつ前向きな姿勢を見せ、またベテランと若手の分け隔てなく接することでポジティブな雰囲気を醸成させた。

 ピッチに目を向ければ今季は主にセカンドトップとしてプレー。足元にボールを収めたときの体幹の強さや独特な間合いは、前へ前への栃木のなかで異彩を放っており、攻撃に違いを作り出せる貴重な存在だった。惜しむらくは得点に直接絡む機会が少なかったこと。ゴール前に積極的に飛び込むスタイルではないにしても、ここ4年間得点なしはさすがに寂しい。本人も得点へのこだわりは見せているので、負傷からの復帰とともに気長に待つとしたい。

 

16 榊 翔太

22試合/919分/4得点/1アシスト

 前からプレッシングをかけていく戦術のなかで今季も開幕から先発出場を重ね、第3節東京V戦(△1-1)では今季チーム初得点を記録。明本が最前線に移ってからはベンチを温める試合も続いたが、チームが調子を落としていたシーズン中盤には先発復帰。持ち前の運動量でチームが調子を取り戻していく様は昨季の残留争いを彷彿とさせるものだった。

 3年半の在籍期間を終えて今冬フリーに。左足のシュート技術やパワーはあるだけに、新天地でも攻守に奮闘する姿に期待したい。

 

19 大島 康樹

35試合/1969分/1得点/0アシスト

 群馬時代はワンタッチゴーラーとして得点を量産したが、今季はSHやSBにコンバートされ、キャリアハイの35試合に出場。名門柏ユース出身とあって、相手からのプレッシャーが比較的少ないサイドや押し込んでからのハーフスペースでのプレーでは基本技術の高さを見せた。ゾーンで守るCKの守備では逆サイドの大外を担当しており目の前を横切られて失点したシーンが数回あったが、戦術上の弱点なのでこれは仕方ないと思う。ミドルシュートを決めた第10節山口戦(〇1-0)のようにFWらしい貪欲さをもっと出してもいいと思う。

 

29 矢野 貴章

37試合/1967分/7得点/1アシスト

 新潟から加入した元日本代表FW。高くて走れて守備もできるという三拍子を高水準で兼ね備え、明本を含めた最前線のメンバーのなかでは2番目に多い37試合に出場した。

 厳しい連戦とあって夏場のコンディション調整には苦しんだものの、フィットネスが向上した終盤戦は無類の空中戦の強さと得点力を発揮。第36節から第38節の3試合は全て途中出場から得点を記録し、気持ちでねじ込んだ最終節磐田戦(●1-2)では引退する菅和範に向けて指で背番号7を表した。

 優秀なプレースキッカーの加入が決まっている来季はセットプレーも含めてより多くの得点に期待したいところである。

 

34 有馬 幸太郎

21試合/489分/1得点/3アシスト

 鹿島に所属した昨季は天皇杯で栃木相手に得点を記録。獲得を熱望した田坂監督のラブコールに応え期限付き移籍で加入が決まった。

 181cmの長身と高い技術を生かし、最前線のターゲットとしてもSHとしてもプレーした今季は21試合に出場。そのうち先発は5試合に留まったものの、第36節岡山戦(〇3-2)でリーグ戦初得点をあげてからは栃木スタイルのなかで自らの生きる道を掴んだように見えた。ちなみに3アシストは全て先発出場した試合で記録したもの。出場時間を確保することができれば結果を残す力はあるだけに、期限付き移籍の延長が決定している来季はブレイクの予感が漂う。

 来季も監督の「こーたろー!!」という声をスタジアムで聞けるのは楽しみである。

 

38 小堀 空

1試合/1分/0得点/0アシスト

 来季のトップチーム昇格が決まっているU18チーム所属の長身FW。特別指定選手として登録された今季は第41節千葉戦(〇1-0)でベンチからの途中出場を経験。短い時間ながら前から相手を追い回す積極的な姿勢を見せた。これからの成長に期待である。

 

20 韓 勇太

9試合/222分/1得点/0アシスト

 昨季は残留争いのライバルである鹿児島で35試合に出場し11得点を記録。ルーキーイヤーで十分な結果を残したことを考えれば栃木での半年間は悔しい結果になったといえる。ボールを持たれる時間の多い栃木のスタイルにおいて、決してプレッシングをサボっているわけではなかったがイマイチ周りと連動できず、不用意なイエローカードを貰うことも多かった。

 10/27に松本山雅への復帰が決定。直後の11/4の栃木との試合(第31節 △0-0)で先発を飾るなど、復帰後は6試合に出場した。契約更新が決まっている来季は再起をかけたシーズンとなる。

 

 

以上です!それではまた!