栃木SCのことをより考えるブログ

主に栃木SCの試合分析(レビュー)をします。

栃木SCの2019シーズンを振り返る〜選手編(MF、FW)〜

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MF

5 へニキ

39試合(2492分)/3得点/1アシスト

 出場した試合数はチーム最多。今シーズンも無尽蔵のスタミナとフィジカルでピッチを縦横無尽に走り回る姿は圧巻であった。その反面動き過ぎてポジションを空けてしまうという課題も散見されたが、ボランチからトップにポジションを移した終盤戦は役割が整理されたことで迷子になる場面も減少。チームとしての機能性を優先するなら前線起用がベターのように見えるが、来季の続投が決定している指揮官は今季を踏まえた上でどのように起用するか楽しみである。

 

6 古波津 辰希

13試合(668分)/0得点/0アシスト

 流経大在学中の2015年に特別指定選手として登録されると、そのまま栃木に加入。計4年間プレーしたが今シーズンをもっての契約満了が発表された。第30節水戸戦で見せたウェイトを絞った姿は驚きであったが、ボランチのライバルであるユウリの壁を越えることはできず、終盤戦もベンチを温める試合が続いた。ラスト2試合で再び先発に復帰すると、直近の核となっていたユウリの穴を見事に埋めてみせ残留に貢献。今後の去就は現時点では分からないが、できればどこかのピッチでまた走る姿を見たいのが正直なところである。

 

10 西谷 和希

37試合(2659分)/5得点/1アシスト

 サプライズ演出でのチーム残留&背番号10着用が発表されたが、総じて見れば今季は悔しいシーズンになっただろう。ボールを隠しながらタッチライン際を運ぶドリブルは洗練されてきてはいるが、筋肉で身体が多少重くなったのか仕掛けるドリブルのキレはそれほどなかったように見えた。加えて、上手くいかないチーム状況のなか、接触で倒されたときやユニフォームを引っ張られた時のファールアピールばかりが印象に残ってしまったのは残念だった。終盤戦は先発を外され苦い経験をしたが、地元出身の顔として来季はリベンジを果たしてほしいと思う。

 

11 平岡 翼

15試合(253分)/0得点/1アシスト

 個人的にはニューカマーの中で最も期待していた選手だったが、期待とは裏腹に、J2の洗礼を浴びたといえるシーズンとなった。J3でも見せた快速を武器にオープンスペースへ走らせてカウンターを狙う「平岡大作戦」はある程度は効いていたが、得点を奪うには至らなかった。課題であるドリブル時の身体の使い方、フィニッシュの局面での落ち着きを身につければ、和製ヴァーディーになれる日も遠くない。

 

14 西谷 優希

18試合(1387分)/0得点/0アシスト

 シーズン序盤から本職ではない左WB、左SBのポジションで攻守に卒のないプレーを見せたが、夏に瀬川が加入すると、それ以降は試合に出場することはなかった。左サイドでコンビを組んだ弟和希とのユニットは、攻撃回数の少ないチームのなかで最も再現性があり可能性を感じるものだったが、ツインズの連携で奪ったゴールがあるかと言えば微妙なところ。しなやかさとボールスキルの高さはチーム随一なので、できればサイドではなく中央でプレーさせたい選手である。

 

20 岩間 雄大

11試合(819分)/0得点/0アシスト

 昨季はJ2優勝を決めた松本山雅で主力級の活躍を収めていただけに、加入が発表されたときは公式サイトを二度見したのを覚えている。開幕から先発出場を続け、今季の主軸になると思っていた矢先の長期離脱は、岩間にとってもチームにとっても大ダメージだった。これまで大怪我とは無縁だった選手も怪我を負ってしまうのは栃木の恐ろしいところである。仕切り直しとなる来シーズンは新しい芝生の上で溌剌としたプレーを見せてほしい。

 

21 大﨑 淳矢

27試合(1864分)/4得点/1アシスト

 大﨑自身にそれほど調子の波があったとは思わないが、不調なチームの煽りを受け、出場したりしなかったりが続くシーズンとなった。終盤戦に左SHのポジションに定着すると、後方の瀬川とともに、鋭いプレッシングと高い攻撃センスで攻守にハイパフォーマンスを発揮。得点自体はそれほど多くはなかったが、チームとして今季初得点となった第4節ヴェルディ戦や戦術を大幅変更した第33節鹿児島戦など、ここ一番での勝負強さが光った。終盤戦のプレーぶりを見ればハードワークを掲げる来季の陣容で最も不可欠な選手の一人になるだろう。

 

24 和田 達也

8試合(331分)/0得点/0アシスト

 選手会長。昨夏負った怪我からの復帰を目指した今季は栃木加入3年間で最も少ない出場時間となった。いざ戦列に復帰すると横山監督時代と同じく、ボランチやSBなど複数のポジションで起用されたが、それは豊富な運動量や戦術理解度の高さを評価されてだと思っている。こういう選手がチームに一人いるのは困ったときの強みである。すでに契約更新を発表しているので、チームが苦しい時期はまたマッキーを持ってほしい。

 

25 ユウリ

10試合(855分)/1得点/2アシスト

 夏のマーケットで加入すると、圧倒的なボール奪取能力と安定したボール捌きで、クオリティ不足の中盤を一段階ハイレベルに引き上げた。173cmの身長に見合わずハイボールへのヘディングに強い点も頼もしかったポイント。プロキャリア初ゴールが利き足ではない右足で決めたゴラッソであり、興奮しつつも驚いている姿は可愛かった。過去に大阪方面で獲得の噂があったのも納得できる選手である。

 

26 枝村 匠馬

28試合(2172分)/0得点/0アシスト

 プレシーズンのTMで異彩を放っていた練習生は宮崎キャンプ中の2/7に加入が発表された。開幕戦で負傷し序盤は欠場したが第13節甲府戦で復帰すると、その後の欠場は3試合のみと、様々試されたボランチのなかでは安定感のある選手だったと言える。経験に裏打ちされた高い予測と判断力から行うカバーリング能力はチーム随一。特に組むことの多かったへニキやユウリの空けたスペースを埋める姿は地味ながら圧巻であった。当然来季もいてほしい選手だったが、契約満了と藤枝MYFCへの移籍が決定。地元凱旋となる来季もベテランらしく味のあるプレーを見せてほしい。

 

29 川田 拳登

22試合(1391分)/0得点/1アシスト

 左サイドが西谷ツインズなら、浜下と組むことの多かった右サイドは仲良し突貫ツインズだった。もともとFW出身であるため、フィジカル勝負をされると厳しい部分もあったが、それ以外の部分での守備力は全体的に向上。4バックのSBも任せられるのは頼もしかった。在籍計2年半となり、生粋の栃木の選手としての印象が強いが、J2残留が決定し、若返りを図っている大宮所属の選手であることを考えれば、そろそろレンタルバックもありえるかもしれない。

 

31 三宅 海斗

11試合(682分)/0得点/0アシスト

 デュッセルドルフU23チーム(4部相当)から夏に逆輸入で加入した。テクニックと当たり負けしないバランス感覚、ゴールへの積極性は、近年の栃木にはいなかったタイプ。ただ、チームとして三宅を生かす形を作れず、また三宅自身も我の強さが裏目に出てしまい、組織的な部分でなかなか馴染めなかった。途中交代でピッチを去る時もいつも納得のいっていない表情を浮かべていたのが印象に残っている。戦術を大幅変更した第33節以降は計10分の出場終わったが、彼のこれまでの経歴を考えればポテンシャルはこんなものではないだろう。

 

32 荒井 秀賀

2試合(180分)/0得点/0アシスト

 ブランデュー弘前からの復帰4人組のなかで唯一栃木に残留した。公式戦デビューとなった天皇杯山形戦では開始2分で榊のゴールをアシスト。その後リーグ戦でもデビューを果たし、クラブ初となる十代選手の出場となった。プレーを見る限り、少し引いた位置でボールを触りながらバランスを整えるタイプだと思うが、第26節金沢戦では相手のハイプレッシャーをまともに受けてしまいボールをロストするシーンが何度か見られた。Jリーグデビューとともに洗礼を受けたシーズンにもなったが、今後は大勢のサポーターと、そして近くで見守る父を喜ばせられるような活躍に期待したい。

 

37 浜下 瑛

33試合(2696分)/1得点/4アシスト

 今季はフィールドプレーヤーのなかで最長の出場時間と最多のアシスト数を記録。ドリブルの技術に磨きがかかったほか、一瞬の加速とサイドを抜け出してからのクロスはシーズンを通して栃木の武器となった。ボールを回収してからの最初のパスの判断と精度を高めればもう一つ高いレベルに成長できると思う。ちなみに第22節山口戦のゴールは後に加入することとなる瀬川との1vs1を制してのもの。大卒2年間で計63試合に出場し一定の結果を残したともなると、今オフにステップアップの話があったとしてもおかしくない。

 

40 寺田 紳一

18試合(1329分)/1得点/0アシスト

 怪我に悩まされた昨季からの復帰を果たしたが、思うように出場機会を得ることはできなかった。ボールを持ったときの視野の広さやパスセンスはさすがガンバ大阪仕込みだなと唸る場面もあったが、それ以上にボランチとして起用されたことから守備力の低さが気になってしまった。本来はもう一列前の選手なので仕方ない部分でもあるが。。第16節町田戦のゴールは今季最も綺麗に相手を崩して決めることができたゴール第一位だと思う。

 

FW

8 廣瀬 浩二

0試合(0分)/0得点/0アシスト

 栃木の背番号8は今季限りでユニフォームを脱ぐ決断をした。リーグ戦の出場は昨季に続き今季もゼロ。公式戦翌日のトレーニングマッチでもサブ組に回ることが多く、思うようなパフォーマンスを見せることができないなかでの決断だった。廣瀬の引退が発表されてからの栃木はこれまで以上に気迫のこもった戦いを披露。降格して引退させるわけにはいかない。レジェンドの引退がチームを真の意味で一つにし、難しいミッションを全員で達成するための莫大なエネルギーになったのに間違いなかった。最後までJ1でプレーするという夢は叶わなかったが、彼の残した全ての功績は鳥栖にとって、栃木にとって、そしてサッカー界にとって偉大なものである。ありがとう。そして14年間の現役生活、お疲れ様でした。

 

9 大黒将志

29試合(2068分)/6得点/3アシスト

 J屈指のゴールハンターもここまで自分にボールが回ってこないことはなかっただろう。序盤戦は4試合連続ゴールを上げるなど一定の結果を残したが、[5-4-1]でセットする時間が長い分どうしても孤立してしまい、個人ではほぼ為す術なしという状況が目立ってしまった。残留に向けて黄色信号が灯り始めた終盤戦はベンチ入りすらままならない状況だったが、最終節千葉戦では相手の動きを釣って決勝点を演出するなど、ここぞの場面での貢献度はさすがの一言である。ハードワークを掲げるであろう来季は終盤戦の起用法を見る限りジョーカー的な立ち回りがメインになるのだろうか。

 

16 榊 翔太

14試合(976分)/1得点/0アシスト

 残留を掲げて戦った終盤戦のアイコンの一人。最初の守備者として最前線から行うプレッシングは後方の選手も太鼓判を押すほどであり、全ての試合で途中交代となったのはスタミナを考慮して初めから決められていたものなのだろう。練習で見せるパンチの効いた左足シュートを披露できる場面はなかったが、唯一決めた得点は残留争い直接対決となる鹿児島相手に決めた貴重な先制弾であった。最終節、劇的残留を決めた直後に号泣する榊の姿は、今季のチーム、そしてこれまでの個人の苦しみを表すようであり、もらい泣きしそうになってしまった。

 愛犬のころちゃんを溺愛しており専用のInstagramアカウントがある。

 

19 大島 康樹

18試合(911分)/1得点/1アシスト

 昨季は加入後すぐに群馬へレンタル移籍したため今季が実質栃木一年目。デビュー戦となった第4節ヴェルディ戦のおしゃれシュートでのゴールには今後の活躍を期待せずにはいられなかったが、残念ながらそこがピークになってしまった。FWの二番手として途中出場を重ねつつ、大黒の負傷離脱時は先発にも名を連ねていた時期に、もう一発二発取れていれば違う未来になっていたと思うが。

 

42 イ レジュン

4試合(84分)/0得点/0アシスト

 シーズン序盤の5月に韓国の浦項から加入したが、出場は4試合のみ、うち先発は大黒の負傷により急遽抜擢された第15節岡山戦のみに終わった。長身ではあるが線が細く、競り合いは不得手。当時のチーム状況としてはポストプレーヤーこそ必要だっただけに、多少意図の見えない補強になってしまった。その影響もあり加入直後以降は全く試合に絡めなくなってしまったが、彼自身にとって若いうちに異国の地でもがいた経験は必ずどこかで生きてくるだろう。シーズン終盤はTMでも好調をキープしていただけに個人的にカムバックを期待していた選手の一人であった。

 

47 キム ヒョン

13試合(415分)/2得点/0アシスト

 夏のマーケットで加入した待望の電柱系FW。加入直後から圧倒的な空中戦の強さを武器にロングボールのターゲットになったが、細かい怪我やアジリティの低さがネックとなり出場時間を伸ばすことはできなかった。世代別代表出身なだけあって、身体の使い方やシュートの技術は巧み。マークした2得点はともに途中出場から決めたものであり、いざ出場したときの何か一発やってくれそうな期待は高かった。レンタル期間の満了に伴い退団が発表されたが、韓国への帰還が既定路線だろうか。

 

13 ヴィニシウス(7月に契約解除)

0試合(0分)/0得点/0アシスト

 強そうな名前とインパクトのあるアフロヘアーが特徴のブラジル人FWはプレーの印象を残せずにジョナスとともに7月に退団。昨年は札幌に練習生として帯同していたそうだが、登録された栃木でも出番はなかった。契約解除後の去就が不明なので、知ってる方いたら教えてください。

 

※試合数などのスタッツは全てリーグ戦のもの

 

 いかがでしたでしょうか。計40人、文字数で言えば約12000字と普段のレビューの3倍くらいの長さになってしまいましたが、それだけ多くの選手に、多くの想いと感想があったということでしょう。来シーズンも様々な話題に触れられるよう、また情報収集していきたいと思います。

 長文でしたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。